効果的に腸活を行うためには、腸に入っていく食事を意識することも大切です。老廃物が溜まった「汚腸」から今すぐ卒業して、キレイ痩せや美肌を叶えるために!食事の取り方から朝・昼・夜のおすすめメニュー、そしておやつまで、「美腸」を育むための食習慣について、小野 咲さんに伺いました。
■コラムテーマ
『人生を変える腸活』
国立成育医療研究センターPICU(小児集中治療室)勤務を経て、小林メディカルクリニック東京の便秘外来で腸について集中的に学ぶ。著書に『下がらないカラダ』(サンマーク出版)、『腸が変われば、人生変わる 美腸の教科書』(主婦の友社)がある。
【第5回】美腸のために心がけたい食事のとり方
食事をするのは「お腹が空いた」と思ってから
編集部
腸を改善するためには、食生活を正すことも欠かせませんよね。やはり一日三食、決まった時間に食べることが大切なのでしょうか?
小野
実は、あまりかっちりと時間を決めすぎないことをおすすめしています。1日に何食がベストかというのは、その人の体質もありますし、さまざまな考え方がありますよね。ただ、腸が一定のリズムで消化・吸収の活動をしていることを考えると、常に食べ物が入っていて刺激がある状態よりは、食事と食事の間隔をしっかりと空けるほうが望ましいです。
編集部
では、いわゆる「ダラダラ食い」は、腸のためには避けるべきなのですね。
小野
その通りです。まったく空腹感を覚えていないのに、決めた時間になったからと無理に食べるのは、必ずしも体のためになりません。「お腹が空いたら次の食事をとる」という、体からの自然なサインを信じることもひとつの方法ですよ。
編集部
自身を振り返ってみると、はっきりと空腹を感じていないままに食べていることも少なくないような……。
小野
また、過剰に満腹になると、胃がパンパンになって腸の働きが悪くなってしまいます。体が消化・吸収活動だけで精いっぱいになってしまい、排泄するために費やすエネルギーが不足するイメージですね。昔から「腹八分目」といわれるように、「もう少し食べたいな」と思うくらいが適量です。
編集部
そういえば「食事は野菜から口にする」というダイエット法を聞いたことがあるのですが、これは腸にとっても良い習慣でしょうか?
小野
特に水溶性食物繊維が先に体内へ入ることで、より効果的に腸をきれいにしてくれる効果はあるかもしれませんね。決して悪い習慣ではないと思います。ただし、腸ケアの観点からは「温かいものを先に食べる」ことも意識してほしいですね。
編集部
温かいものというと、汁物などでしょうか?
小野
そうですね。消化管を温めることで腸の働きを活性化させることができます。逆に、冷たいものから口にすると、消化・吸収のために通常より時間もエネルギーも要してしまうので注意してくださいね。
朝・昼・夜に必要なのはどんなメニュー?
編集部
朝食・昼食・夕食それぞれのメニューについては、具体的にどんなことに気をつければよいでしょうか。
小野
まずは皆さんの体が1日の流れのなかでどんな状態になっているのか知っておいてください。大きく3つに分けると、4~12時は「排泄の準備・実行に注力する時間」、12~20時は「エネルギーをたくさん使って体や頭を動かす時間」、そして20~4時は「体を作る時間」ということになります。
編集部
時間帯に合わせて体の状態が変わる以上、必要となる栄養素も違ってきますね。
小野
消化・吸収に集中できるよう、朝食はあまり重すぎないものがよいですね。特におすすめなのがビタミンやミネラル、酵素が含まれた食材です。旬の果物やヨーグルト、おかゆ、スムージーなどは最高ですね。しっかりと食べたいときは、たんぱく質が豊富な卵料理をプラスしてみましょう。
編集部
食事量を軽めにして排泄に集中するイメージですね。逆に、昼食はがっつり食べてもよいですか?
小野
もちろん、腹八分目の原則は忘れないでほしいですが、昼食の時間帯は1日のなかで最もエネルギーを確保したいタイミングです。外食するなら一汁三菜が実現できる定食などを選び、炭水化物であるご飯をしっかりと食べてほしいですね。可能であれば、食物繊維が豊富な雑穀ごはんや玄米をチョイスしてみましょう。また、この時間帯は体が冷えにくい傾向にあるため、生野菜を食べるなら昼がベストです。
編集部
ランチは外食が多くなりがちですが、定食や具だくさんのお弁当などを選びたいですね。最近は、雑穀米か白米か選べるといったお店も増えてきましたし。
小野
ぜひ、少しでも体が喜ぶものを選んでください。1日の最後に食べる夕食では、夜間に体をメンテナンスし、排泄の準備をするためにも、発酵食品とたんぱく質を取り入れましょう。具体的には、野菜たっぷりのみそ汁や納豆、低脂肪の鶏肉を使ったメニューなどですね。ランチより炭水化物は少なめにするのがよいでしょう。
「美腸おやつ」で無理なく生活改善できる!
編集部
間食についてはいかがですか? 大人になっても「おやつの時間が必須」という人は、けっこう多いと思います。
小野
小腹が空いたりストレスを感じたりしたら、間食してもOKですよ! ただ、できるだけ腸によいものを選んでほしいです。私の場合は、栄養豊富な小魚アーモンドや乾燥昆布、ドライフルーツなどが定番のおやつ。よくかむことで、自律神経を安定させることにもつながります。また、ものすごくお腹が空いてしまったときは我慢しすぎず、おにぎりを食べるようにしています。
編集部
いわば「美腸おやつ」といったところですね。コンビニでもナッツやドライフルーツなどの小袋を見かけることが多くなりました。でも、どうしてもチョコレートが食べたいときもありますよね。甘いものがやめられない人はどうしたらよいでしょうか?
小野
我慢しすぎてストレスがたまってしまっては本末転倒です。チョコレートがやめられないなら、せめてアーモンドチョコに置き換えてみてはどうでしょう。タイミングによっては「今はナッツだけでいいかな」というときもあるはずですから、少しの工夫でかなり改善できるはずです。
編集部
それなら簡単で、無理がありませんね!
小野
それから、甘いものが欲しくてたまらないときは、まずは温かい飲みものを口にしてみてください。できればカフェインを含まないものがベターです。温かいものをゆっくり飲むだけで、ずいぶんと心がリラックスし、食欲もまぎれるはずです。
編集部
コーヒーショップでもカフェインレスが用意されていますし、味も美味しいですよね。食事やおやつを美味しく食べながらも、ちょっとした工夫で美腸を目指せることがよくわかりました!
◆◆お話を伺った人◆◆
大学卒業後、2007年より国立成育医療研究センターPICU(小児集中治療室)勤務。その後、小林メディカルクリニック東京の便秘外来に移り、腸について集中的に学ぶ。著書に『下がらないカラダ』(サンマーク出版)、『腸が変われば、人生変わる 美腸の教科書』(主婦の友社)がある。