不安のループで眠れない。心がざわつく夜に試したい2つの入眠法

不安-眠れない

■コラムテーマ
『言葉は身体のコントローラー』

医師・医学博士原田文植先生
1971年、大阪生まれ。医師、医学博士、内科認定医、認定産業医、スポーツ健康医、在宅医療認定医。大阪医科大学卒業後、大阪府済生会中津病院血液リウマチ内科、国立感染症研究所を経て2008年より蔵前協立診療所所長として、地域医療に従事。年間のべ約2万人を診療している。

「神は現世におけるいろいろな心配事の償いとして、われわれに希望と睡眠を与えた」
ヴォルテール

「まるでのび太君のようね」
妻によく言われる。
なぜすぐに眠れるのか?
慢性的に睡眠不足だからだ。
なぜ慢性睡眠不足なのか?
したいことが多くて時間が足りないからだ。
できることなら、死ぬまで起きていたい…

眠れないと訴える患者さんはあいかわらず多い。
「寝る前にテレビを観るな」
「寝る前、部屋を徐々に暗くして過ごすように」
「アルコールやカフェインを控えるように」
などの常識的・実践的助言に始まり、
「夜寝るのをやめて昼寝れば?」
「寝なくて死んだ人はいないから大丈夫」
などの過激な助言まで相手を選んで行う。
著効する人もいるが、全く効かない(聴かない?)人もいる。

「〇〇時間寝ないとダメなんです」
と嘆く多くの患者さんたち。
「睡眠不足は健康を害する」教の教団があるのか?
それほど眠りに対する洗脳は強く、そして根深い。

「寝食忘れる」という言葉ある。
眠るよりやりたいことがあるから寝ないのだ。
たとえそれが「悩み」であっても。
「悩みたい」から寝ないのだ。

あまり意地悪を言っても仕方がないので、
眠れないときの解決法をいくつかお教えしよう。
特に、「悩み」が頭の中を堂々巡りするタイプの不眠症に効果がある。
一つ目は、「落語を聴く」という方法だ。プロの話術で、江戸時代へトリップしよう。
知らないうちに眠りについてしまったという感想が多い。
効果があるのでお試しあれ。

次に、『シャッフル睡眠法』という入眠法を紹介する。
カナダのリュック・ゴードワンという博士が考案したそうだ。
1.好きな単語を一つ決める(例えば、「ねむり」)。
2.単語の最初の文字から別の単語を連想する(「ねこ」など)。
3.前と関連しない単語を次々に連想する(「ネット」「ネスカフェ」など)。
4.思いつかないときは、次の文字へ(「む」から始まる単語、「ムーミン」など)。

人間の脳は、放置していると勝手に次々に連想していくクセがある。
妄想が妄想を呼び、脳が覚醒し、眠れなくなってしまう。
能動的に、無意味な連想をすると脳は疲労する。そしてシャットダウンしてしまうのだ。
脳の性質を利用した入眠法だ。
不眠と縁のない方も、試してみてほしい。

眠剤にもふれておく。
一部の眠剤の投薬に制限がかけられるようになってきた。
認知症との因果関係が報告されているからだ。
幸い、安全性の高い薬もあるので医師に相談するのも一手だ。

最後に。
睡眠はもちろん大切だ。
文明がここまで進化したのは、農耕を初め、熟睡環境が整ったお陰だ。
ただ、あまりに熟睡すると突然動物に襲われたとき、逃げ遅れてしまう。
眠れない能力もサバイバルに必要な素質だったかもしれない。
新たな名言誕生?
寝言は寝てから言え、か…

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◆執筆◆

原田プロフィール
医師・医学博士
原田文植(はらだ ふみうえ)先生

1971年、大阪生まれ。医師、医学博士、内科認定医、認定産業医、スポーツ健康医、在宅医療認定医。大阪医科大学卒業後、大阪府済生会中津病院血液リウマチ内科、国立感染症研究所を経て2008年より蔵前協立診療所所長として、地域医療に従事。年間のべ約2万人を診療している。2018年、医療と教育に特化したONE LOVEビルを建設。医療従事者向けに「日本メディカルコーチング研究所」、一般の患者向けに「よろず相談所 One Love」を開設。武道家・格闘家との交流、映画出演、音楽ライブ活動など幅広く活躍。著書に『病は口ぐせで治る!』(フォレスト出版)がある。

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