お願い、寝かせて!子育て中の医師も実践するママの睡眠不足対策

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子育ては想像していたよりもはるかにハードだったー。そう実感しているママも多いはずです。昼夜を問わない授乳やおむつ替えで睡眠不足や疲れが重なり、さまざまな体調不良につながることもしばしばあります。そこで今回は、育児には付きものといっても過言ではない睡眠不足がママにどのような影響を及ぼすのか、その対処法を含めて詳しく解説します。

■コラムテーマ
お疲れママに贈る!子育て中のボディ&メンタル健康術

内科医、公衆衛生医師 成田亜希子
2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。本コラムは、だっこで腰を痛めたり、母乳育児による免疫力低下でかぜを引きやすかったり、睡眠不足や思うようにならないストレスを抱えてお疲れの子育てママに、同じく子育て中の女性医師が贈る健康管理術。

赤ちゃんの睡眠 ー 3つの特徴

生まれて間もない赤ちゃんは1日の大半を眠って過ごし、睡眠時間の合計は15~20時間にもなります。その上、合計の睡眠時間こそ長いものの頻繁に目を覚ますことが大きな特徴です。この「細切れ睡眠」こそが、ママを悩ませる睡眠不足の大きな原因になるのです。

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1.細切れ睡眠

赤ちゃんは大人と比べて眠りが浅く、ささいな刺激で目を覚ましてしまいます。これは、赤ちゃんに特有の睡眠リズムが原因です。ヒトの睡眠には、脳も体もしっかり休んでいる「ノンレム睡眠」と、体のみが休んで脳は働いている状態の「レム睡眠」の2種類があります。大人の睡眠ではノンレム睡眠とレム睡眠が交互に繰り返され、より深い眠りであるノンレム睡眠が全体の80%ほどを占めています。一方、赤ちゃんはこの睡眠リズムが整っておらず、睡眠全体の50%以上がレム睡眠であることがわかっています。

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つまり、赤ちゃんの睡眠の大部分は浅いもので、「お腹が空いた」「おむつが気持ち悪い」「寒い」といった不快感を覚えたり、ちょっとした物音があったりしただけで目を覚ましやすく、特に月齢が低い赤ちゃんは1~3時間ほどの間隔で寝たり起きたりを繰り返します。

2.昼夜の区別が付かない

私たちの体には「体内時計」と呼ばれる仕組みがあり、朝に目覚め、夜になると自然と眠くなるリズムが備わっています。しかし、生まれたばかりの赤ちゃんの「体内時計」は充分に機能しておらず、生後3~4ヵ月までに徐々に成熟していきます。

「体内時計」が未発達の赤ちゃんは昼夜の区別が付かないため、睡眠リズムが乱れがちになり、昼夜が逆転してしまうことも少なくありません。その結果、赤ちゃんのお世話をするママも睡眠リズムが乱れ、睡眠不足に陥ってしまうのです。

3.夜泣き

多くのママを悩ませる夜泣きは、赤ちゃんの「体内時計」や睡眠リズムが整ってきて、ある程度まとまって眠れるようになる生後半年~1歳ごろまでに見られる現象です。生後半年以前の赤ちゃんが夜間に目覚めて泣くときの原因は、空腹やおむつの不快さなどであることがほとんどですが、夜泣きの原因ははっきりとはわかっていません。何をしても泣きやまないことも多々あるため、睡眠不足のつらさと相まってノイローゼ気味になってしまうママも少なくありません。全く夜泣きをしない赤ちゃんもいるため、「何でうちの子は……」と途方に暮れてしまいます。

睡眠不足によるママへの影響

赤ちゃんの睡眠の状態には個人差があるので、もちろん一晩通してぐっすり眠る子もいます。しかし、夜泣きがひどい子を持つママは深刻な睡眠不足になって、体調を崩すことも珍しくありません。具体的に、睡眠不足はママにどのような悪影響をもたらすのでしょうか。

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1.頭痛

ママ世代に多い片頭痛の症状は、妊娠中に軽くなることが知られていますが、その多くは半年以内に再発するとされています。睡眠不足も再発の一因であり、つらい頭痛を抱えているママは思いのほか多いのです。また、慣れない育児でつい力が入りがちになるママにとって、肩こりは「職業病」でもあります。睡眠不足が続くと体をゆっくり休める時間が少なくなるため、肩こりがひどくなりやすく、緊張型頭痛を引き起こすこともあります。

2.自律神経の乱れ

睡眠不足は、自律神経バランスの乱れを引き起こします。ただでさえ、産後は女性ホルモンの急激な減少により自律神経バランスが崩れやすいものです。そこへ睡眠不足が重なると、深刻な自律神経失調症を発症することも少なくありません。そして、倦怠感や動悸、めまい、吐き気などさまざまな症状が現れます。

3.産後うつ病のリスク上昇

ママの10~15%にみられる産後うつ病は、産後3週目ごろから精神症状(気分の落ち込み、不安、イライラ感、無気力感など)や身体症状(吐き気、倦怠感、頭痛など)を引き起こす病気です。症状には個人差があり、数ヵ月間で改善することが多いとされていますが、なかには数年にわたって症状に苦しむママもいます。産後うつ病の発症メカニズムは詳しくは解明されていませんが、睡眠不足による疲労の蓄積も発症の一因になると考えられています。

ママの健康を守る!睡眠不足の対処法

赤ちゃんをお世話する上で睡眠不足を完全に避けることはできませんが、少しでも状況を改善するための努力や工夫は必要です。育児中のママにおすすめする睡眠不足への対処法をご紹介します。

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1.上手に仮眠を取り入れる

赤ちゃんのお世話に追われるママは、なかなかまとまった睡眠時間を確保することができません。必要な睡眠時間には個人差があるものの、心身の健康を維持するには1日に7~9時間ほどの睡眠が必要だといわれています。しかし、赤ちゃんに合わせて細切れ睡眠になりやすいママが7~9時間も眠れることはほとんどないでしょう。

まとまった睡眠がとれない日々が続くと、熟眠感が得られないばかりか、夜中に目が覚めてなかなか寝付けず、ようやく眠りに落ちそうになると次の授乳で起こされ……という悪いサイクルにはまってしまいます。

そこで、おすすめしたいのが上手に仮眠を取り入れること。赤ちゃんは日中もすやすやと眠っている時間があるので、ごく短時間でも赤ちゃんと一緒に眠れば、睡眠不足による疲れや不快症状がいくらか改善するでしょう。仮眠のポイントは、15~20分程度の睡眠にとどめることです。長時間の仮眠をしてしまうと、夜間に目がさえて眠れなくなってしまうこともあるので注意してください。

2.赤ちゃんの睡眠リズムを整える

生後3ヵ月ごろを過ぎると、赤ちゃんの「体内時計」が機能し始め、睡眠リズムが整ってくるようになります。そのリズムを乱さず、夜間のまとまった睡眠を促すためにも、夜は部屋を暗くする、朝はカーテンを開けて太陽の光を浴びさせる、日中はお散歩などをして刺激を与えるなど、メリハリのある生活を送ることができるように配慮しましょう。

3.家族と協力する

どうしても体がつらいときは、パートナーや実家の両親などに任せて思う存分に眠り、リフレッシュすることもママの大切な「仕事」です。家の中にいると赤ちゃんの様子が気になってしまうというママは、マッサージやリラクゼーションのために出かけてみてはいかがでしょうか。ちょっとの間だけでも育児から離れ、疲れた心身を癒しながらぐっすり眠ることができるでしょう。

まとめ

 

いつの時代も、睡眠不足は育児をしているママの大きな悩みの種です。睡眠不足から完全に無縁でいることは難しいですが、無理を重ねるとママの心身は確実に蝕まれていきます。育児は、家族による共同の営みです。決してママだけで抱え込まず、パートナーなどと協力してゆっくり休める時間を意識的に作ってください。

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  • ◆執筆

    成田亜希子先生
    内科医・公衆衛生医師
    成田亜希子(なりた あきこ)先生

    2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。二児の母でもある。

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