食べすぎ病とストレス|原田文植 医師コラム

ストレス-食べすぎ

■コラムテーマ
『言葉は身体のコントローラー』

医師・医学博士 原田文植先生
1971年、大阪生まれ。医師、医学博士、内科認定医、認定産業医、スポーツ健康医、在宅医療認定医。大阪医科大学卒業後、大阪府済生会中津病院血液リウマチ内科、国立感染症研究所を経て2008年より蔵前協立診療所所長として、地域医療に従事。年間のべ約2万人を診療している。

増岡さん(67歳女性)が絶賛増量中だ。
下町で夫と寿司屋を経営している。
米は好きではないそうだ。
主に、パン類と麺類を食べている。
しかもナマモノが苦手ときている。
寿司屋を生業としているのに?
もはやギャグとしか思えない。

近隣に有名な製麺会社がある。
付き合いがあるので、しょっちゅう麺を差し入れてくれるそうだ。
お礼にパスタや焼きそばを作って差し入れをするらしい。
寿司屋なのに?
ついつい試食し過ぎてしまう。
太るはずだ。

接客も好きではないらしい。
「しつこい客が多いのよ」
と顔をしかめて愚痴が始まる。

本人いわく
「過食しているわけではない」
でも体重は減らないどころか増える。
不思議だ。

増岡さんのように、過食せず(あくまで自己申告)太るケースは多い。

仕事が楽しくないと消費活動に走る。
世間を見ていると概ね正しいと思われる。
人生時間の大部分を費やす仕事。
仕事が楽しくない状況は地獄で暮らすようなものだ。
仕事以外の消費活動でストレスを発散することになる。
新橋の飲み屋は憂さ晴らしのサラリーマンで満員だ。
どこが不況?と思うほどに。
買物依存や、ギャンブル依存になる人も少なくない。
過食に走る人も多い。
肉体が「食後の安堵感」を求めてしまうのだ。

ストレス下では、代謝機能が落ちるのではないか?

人類にとって最大のストレスは飢餓だ。
身体は、ストレス状態を「飢餓状態」と認識するのかもしれない。
難民の子供たちの膨らんだお腹。
あれは脂肪肝を発症しているのだ。
カロリーが入ってこない状況だと最も効率良い貯蔵の仕方をする。
脂肪の状態で肝臓に蓄えるのが最も効率が良いのだ。
これは科学的に証明されている。
いわば冬眠前のような太りやすい状態になっているのだ。
代謝を極力抑えることによって
人体のオン・オフスイッチは容易に切り替わるのだ!

人間の身体は思いのほか旧式だ。
手に汗握るのは「すべり止め」つまり、四つ足時代の名残だ。
恐怖でドキドキするのは失血死しないためだ。
例を挙げれば、寿司と同じくネタに尽きない。
どれも現代人にとっては不要な性能だ。

飲食店で働く患者さんは非常に多い。
まかないを食べるせいもあるが、やはりストレスが主因だと感じる。
不況で商品が余れば廃棄処分するしかない。
幼少時から「もったいない」を教育されてきた。
日本人の感覚からすれば、この上ない苦しみだろう。
日持ちしないネタを扱う寿司屋は特に苦しい。
リラックスして気持ちよく仕事をしてもらいたいものだ。
手に汗握られたらシャリが塩辛くなってしまう…

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◆執筆◆

原田プロフィール
医師・医学博士
原田文植(はらだ ふみうえ)先生

1971年、大阪生まれ。医師、医学博士、内科認定医、認定産業医、スポーツ健康医、在宅医療認定医。大阪医科大学卒業後、大阪府済生会中津病院血液リウマチ内科、国立感染症研究所を経て2008年より蔵前協立診療所所長として、地域医療に従事。年間のべ約2万人を診療している。2018年、医療と教育に特化したONE LOVEビルを建設。医療従事者向けに「日本メディカルコーチング研究所」、一般の患者向けに「よろず相談所 One Love」を開設。武道家・格闘家との交流、映画出演、音楽ライブ活動など幅広く活躍。著書に『病は口ぐせで治る!』(フォレスト出版)がある。

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