雨の日は決まって頭痛が…。悩ましい天気痛とどう付き合う?

雨-頭痛

「どうも頭が痛いと思ったら、夕方から雨が降り出した」「台風が近づくとめまいがつらくて」……。天気、とくに気圧の変化によって引き起こされる不調に苦しむ人は少なくありません。気になる気象病(天気痛)のメカニズムやその対処法を、原田文植医師が実例を交えて解説します。

■コラムテーマ
『言葉は身体のコントローラー』

医師・医学博士原田文植先生
1971年、大阪生まれ。医師、医学博士、内科認定医、認定産業医、スポーツ健康医、在宅医療認定医。大阪医科大学卒業後、大阪府済生会中津病院血液リウマチ内科、国立感染症研究所を経て2008年より蔵前協立診療所所長として、地域医療に従事。年間のべ約2万人を診療している。

小さい頃よく母に背中を踏まされた。
特に天気の良くない日に要求され、ときに長時間に及んだ。
当時は母の気持ちが全く理解できなかった。
おそらく首から背中にかけてガチガチになっていたのだろう。
子供の体重で踏まれることで、少しはほぐれたのだろう。
東洋医学的解釈で言えば、「水」が停滞していたのだろう。
もしかすると「血」も停滞していたのかもしれない。
4人出産し、夜遅くまで仕事をしていた母だった…

女性は概して男性より気候の変化に敏感だ。
良い意味で、動物的というか自然に近い感覚が鋭いのだろう。
これは生理的な男女差に由来するのかもしれない。
月経周期や妊娠周期、女性の身体は自然と調和している。
卵子の元になる原始卵胞は、母体中の小さな胎児だった頃に既に作られていたのだ。
次第に成熟して卵子に成長する。
長期間かけて大切に卵子を育まなければならない。最大の敵は自然災害だ。
気候や天候に反応するのは防衛本能なのかもしれない。

以前のコラムにも書いたが、「めまい」患者が増える時期がある。
これは気候以外に「共感力」も関係しているかもしれない。
研究結果からは否定的だが、同居する女性の月経周期が重なるという話をよく耳にする。
仮説の真偽がどちらであれ、女性の「共感力」に負う部分が大きい気がする。
「非言語領域での共感力」となると、女性はやはり動物に近いと言わざるを得ない。

岡田さん(仮名、86歳女性)は慢性的なめまい患者さんだ。
例にもれず、天候で症状は増悪する。
ひどい台風の数日後、定期往診をした。往診前は不安だった。
意外なことに、台風に気づかないほど熟睡できたらしい。
一周回って元気になったのか?
あまりにも強い低気圧だと、むしろ「病」は治るのか?
赤道に近い低緯度の高い海水温に端を発する積乱雲の連発。
それが巨大な台風をもたらす。
地球規模のつながりが巨大な「共感力」を岡田さんに発生させたのか?
話が大きくなりすぎた。

天候と関係がありそうな症状は東洋医学の薬が得意としている領域だ。
水の停滞を解消する薬、「利水剤」がよく効く。
有名な「葛根湯」も利水作用の強い薬だ。
東洋医学的には、肩こりや頭痛、鼻水は「水の停滞」に起因すると考えられることが多い。
だから葛根湯は風邪の諸症状に効く。

ただし、葛根湯は「病期(特徴によって区別した期間)」を選ぶので、専門医に相談することをオススメする

肩が凝ってきた。少し寝転んでいたら、4歳の娘が背中に乗っかかってきた。
あっ、気持ちいいかも!
ようやく母親の気持ちがわかるようになった…

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◆執筆◆

原田プロフィール
医師・医学博士
原田文植(はらだ ふみうえ)先生

1971年、大阪生まれ。医師、医学博士、内科認定医、認定産業医、スポーツ健康医、在宅医療認定医。大阪医科大学卒業後、大阪府済生会中津病院血液リウマチ内科、国立感染症研究所を経て2008年より蔵前協立診療所所長として、地域医療に従事。年間のべ約2万人を診療している。2018年、医療と教育に特化したONE LOVEビルを建設。医療従事者向けに「日本メディカルコーチング研究所」、一般の患者向けに「よろず相談所 One Love」を開設。武道家・格闘家との交流、映画出演、音楽ライブ活動など幅広く活躍。著書に『病は口ぐせで治る!』(フォレスト出版)がある。

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