【医師解説】産後の肌荒れ対策を教えて!子育て中もキレイでいたい

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産後のママは、慣れない育児や家事との両立に追われ、自分のことは後回しになってしまいがち。特に美容に関しては、充分にケアすることは難しいでしょう。気づけば、お肌はガサガサ、髪の毛はパサパサ……ということも多いのではないでしょうか。産後はホルモンバランスや生活の変化により、体のコンディションは決して良くはありません。だからこそ、しっかりとお手入れする必要があります。そこで今回は、「子育て中もキレイでいたい」と願うママのために、産後の肌荒れの原因やおすすめの対策について解説します。

■コラムテーマ
お疲れママに贈る!子育て中のボディ&メンタル健康術

内科医、公衆衛生医師 成田亜希子
2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。本コラムは、だっこで腰を痛めたり、母乳育児による免疫力低下でかぜを引きやすかったり、睡眠不足や思うようにならないストレスを抱えてお疲れの子育てママに、同じく子育て中の女性医師が贈る健康管理術。


肌荒れの原因は「ターンオーバー」の乱れ

触れるとガサガサ、化粧ノリが悪い、全体的にくすんでいる、吹き出物ができる……。これらの肌荒れは、どのような原因で引き起こされるのでしょうか。

1.皮膚の構造と新陳代謝

私たちの皮膚は、複数の層から形成されています。皮膚の深層部を真皮と呼び、その上層にはさらに4層からなる表皮が存在しています。表皮の最も外側の層は角質層と呼ばれ、私たちが普段から触れている部分に当たります。皮膚の元になる細胞は日々表皮の深層の部分で作られ、徐々に上の層へ押し上げられていきます。そして角質層にまで押し上げられた細胞は、時間がたつと垢となってはがれ落ちていくのです。

【表皮の構造】

産後-肌荒れ_01このように新しい表皮が作られてはがれ落ちるまでの周期をターンオーバーと呼びます。ターンオーバーは理想的なお肌の状態では約28日とされていますが、さまざまな原因により乱れることがしばしばあります。そうなると古くなった角質層の細胞が新しい細胞と正常に入れ替わらなくなり、カサつきや吹き出物といったトラブルを引き起こす原因となります。

また、角質層は皮膚を乾燥や紫外線など外部刺激から守る重要な働きを担っているため、ターンオーバーの乱れにより角質層の構造が崩れると、皮膚の深層に刺激が伝わりやすくなって敏感肌になります。さらに、メラニン色素の産生が促され、しみができやすくなってしまいます。

2.ターンオーバーの乱れはなぜ起こる?

女性のお肌は非常にデリケートであり、ささいなことでターンオーバーは乱れてしまいます。その原因を大きく分けると、ホルモンバランスの乱れによるもの、生活の乱れによるものが挙げられます。

ターンオーバーは、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの作用により正常な周期にキープされているため、ホルモンバランスが崩れると乱れやすくなります。また、生活の乱れや無理なダイエットによりお肌の新陳代謝に必要な栄養素を充分にとれていなかったり、ストレスや睡眠不足、疲れなどが重なったりしたときも、正常に行われなくなることがあります。               


産後に肌荒れが起こりやすいのはなぜ?

肌荒れの原因がターンオーバーの乱れであることはわかりました。産後ママの多くが肌荒れに悩まされるということは、産後にターンオーバーの乱れが起こりやすいということになります。それはなぜなのでしょうか。

1.ホルモンバランスの急激な変化

女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの分泌は、妊娠週数を重ねるごとに徐々に増えて分娩時にピークを迎え、出産後は急激に減少していきます。産後1~2週間ごろには分泌量がほぼゼロとなり、急激なホルモンバランスの変化により体調不良になるママも少なくありません。このようなホルモンバランスの変化、特にエストロゲン分泌量の激減により、お肌も悲鳴を上げてしまうのです。ターンオーバーが乱れやすくなり、深刻な肌荒れが生じやすくなります。

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産後は長い時間をかけてホルモンバランスが妊娠前の状態に戻っていき、生理が再開します。生理再開までにかかる時間には個人差があり、一般的には母乳育児をしているママのほうが再開までに時間がかかるとされています。これは、授乳することで分泌が促されるプロラクチンというホルモンが、エストロゲンの分泌を抑制するからです。産後のホルモンバランスの乱れによる肌荒れは、徐々にエストロゲンの分泌量が増えるにつれて改善していきますが、そうなるまでの時間には大きな個人差があるので、長い目で見ていくしかありません。

2.生活の変化

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産後は昼夜を問わない授乳やおむつ替えで、ママの生活リズムは大きく乱れます。充分な睡眠や休息が望めず、疲れはたまる一方……。それでも無理せざるを得ないというママも多いでしょう。こうした生活の中で、ターンオーバーの大敵であるストレスや睡眠不足、疲れがどんどん積み重なっていきますまた、お肌の生成に必要なたんぱく質やビタミンなどのバランスにまで気が回らず、不健康な食生活を送っているママも少なくないでしょう。こうした生活習慣の乱れが原因となる肌荒れは、赤ちゃんがまとまった時間眠れるようになり、ある程度育児が落ち着くまでは避けられないかもしれません。

3.便秘や肩こりが肌荒れの原因になることも

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産後ママの肌荒れの原因として、意外と多いのが便秘と肩こりです。お肌の状態とは何ら関係がないようにも思えますが、実は便秘と肩こりは肌荒れと密接な関係があるのです。便秘の状態では、腸内にたまった有害物質により吹き出物などの肌荒れが起こりやすくなります。また、授乳や抱っこなどで生じる頑固な首や肩回りのこりは、血行を悪くして肌のくすみなどのトラブルを引き起こします。


産後の肌荒れ、おすすめの対策は?

産後の肌荒れにはさまざまな要因が関与していますが、その多くは避けることが難しいホルモンバランスや生活の変化によるものです。だからといってあきらめるのではなく、ターンオーバーを少しでも正常に近づけるよう対策し、肌荒れを予防していきましょう。

1.保湿

ターンオーバーの乱れにより角質層の構造が崩れると、お肌が乾燥しやすくなり、さらなる肌荒れを引き起こすという悪循環に陥ることがあります。これを断ち切るため、こまめに化粧水や美容液などを使ってお肌を保湿しましょう。また、育児中は室内にいる時間も増えますが、空調によるお肌の乾燥を防ぐため、加湿器を使って適切な湿度を保つことも大切です。

2.栄養バランスの良い食事

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肌荒れを防ぐためには、肌の再生に必要なたんぱく質やビタミンE、ビタミンB群、ビタミンA、ビタミンCなどの栄養素を積極的に摂取するようにしましょう。また、肌荒れの原因となる便秘を防ぐためには、海藻やきのこなどに含まれる水溶性食物繊維を多くとることがお勧めです。

3.充分な睡眠・休息をとる

産後のママには難しいことではありますが、たまにはパパや家族に協力してもらいながら、ゆっくりと心身を休める時間を作ることも大切です。睡眠中に分泌される成長ホルモンも皮膚のターンオーバーを促したり、ダメージを受けた組織を修復したりする作用を持っているので、睡眠は肌荒れ対策としてとても有効です。また、首や肩のひどいこりを自覚している場合は、プロの手によるマッサージやリラクゼーションに行くこともお勧めです。一時的にでも育児から離れて癒されるだけで、肌荒れ対策になるだけではなく、ママの心身の健康にも良い影響を与えてくれることでしょう。

まとめ

産後のママはさまざまな不調を生じやすく、特に産後の肌荒れは避けて通ることが難しいトラブルのひとつです。できるだけ肌荒れの程度を抑え、早期に改善するためには、原因に応じた対処法を実践していくことが大切です。自身の体をいたわることも忘れず、赤ちゃんにも負けないプルプルお肌を目指していきましょう!

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  • ◆執筆

    成田亜希子先生
    内科医・公衆衛生医師
    成田亜希子(なりた あきこ)先生

    2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。二児の母でもある。

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