肩こり予防のカギは運動にあり|医学博士インタビュー②

肩こりを寄せ付けない体づくり_ic

仕事や家事の合間に自分でほぐしたり、お風呂に入ったりすると、一時的には楽にはなるものの、気付くと繰り返している肩こりや首のこり……。

根本的に凝りにくい状態を作ることって可能なのでしょうか?肩こりスパイラルから脱出するためのヒントを、医学博士・健康科学アドバイザーの福田千晶先生に教えていただきます!

■コラムテーマ
女性の5大不調 ~その原因とリセット法

学博士・健康科学アドバイザー 福田千晶先生
1988年、慶應義塾大学医学部卒業。医師として東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学科勤務を経て、1996年よりフリーランスの健康科学アドバイザーとして、講演と執筆、テレビ・ラジオ番組を中心に活動。

福田千晶先生インタビュー【第2回目】は、肩こりの予防、根本リセットについて

筋肉を育てる“こまめ運動”を習慣に!

編集部
こりケアの基本は、「動かす」「温める」ということですが、これで一時的に楽になっても、肩こりなどは繰り返してしまいがちです。

「筋肉が少ない人は凝りやすい」という先生のお話をふまえると、
筋肉を増やすことが、こりの根本リセットにつながるのでしょうか。

福田
そうですね。筋肉を大きくすることで、ポンプ作用がよく働いて
血流が促されますし、頭や腕の重さに対する耐性もできる。
つまり、肩こりを寄せ付けにくい環境が作れるということです。

編集部
そうなると、やるべきことは運動でしょうか。

福田
まずは、こまめに体を動かす習慣をつけるとよいかと思います。
たとえば、一生懸命に拭き掃除をするとか、
ダンスなどもおすすめですが、何もダンス教室に通わなくても、
YouTubeで好きな動画を見ながら家で踊ってもいいんです。
「それならできる!」という方、結構いらっしゃいますよ。

編集部
いくつになっても、筋肉は使うことで増えるといいますから、
適度な負荷をかけてあげるのがいいんですね。

福田
はい、一日中座りっぱなしのデスクワークって、
やはりどこかに無理があるように感じます。
ちょっと前まで、ほとんどの日本人は農業や漁業に従事していたわけで、
遺伝子的に見ても、静止し続けるのは自然な姿ではないはず。
人間という生き物は、ある程度動くようにできていますから
とくにここ10年ほどで、人々の運動量は減っていると思います。

編集部
それは強く感じます。

福田
たとえば本一冊探すにしても、かつてはまず本屋さんに行って、
なければ注文してとりあえず帰ってきて、
届いたころにまた取りに行ってましたよね。

でも、今は1歩も外に出ずに、お目当ての本を受け取れてしまう。
それだけで、2回出かけていたのがゼロになる。

編集部
打ち合わせも、オンラインで人と会わずにできてしまいます。

福田
こうして普通に暮らしている人の活動量がうんと減っていく

編集部
……ということは、ますます肩こりは増えていくかもしれません。

福田
増えてくる可能性がありますね。

飲み過ぎると肩が凝る!?

編集部
ちなみに、肩こりは食事とは関係ないのでしょうか。

福田
実は、肩や背中のこりに悩む方で、
飲み過ぎたり油っこいもの食べたりすると
ひどくなるというケース、けっこう多いんです。

編集部
あっ、なります。

福田
ハッキリとは分からないのですが、
内臓の疲れが出ているのではないかという説と、
飲み過ぎや食べ過ぎのときって、
長時間、同じ姿勢で飲食しているケースが多いですよね。
それが、こりを招いてしまっているということも考えられます。

あとは、睡眠不足のときに、肩こりがひどくなるとか、
重い荷物を持ったときに、背中のハリが強くなるとか。
「あれ?」というサインが出たら、自分のライフスタイルを振り返ってみる
そのきっかけにするのもいいですね。

肩こり・首のこり まとめ

こりとは?

主に、同じ姿勢を取り続けたり、同じ動作を繰り返す、または冷えやストレスなどによって局所的に筋肉が緊張し、ハリが生じた状態。

こりのメカニズム

筋肉が緊張して血管が圧迫されると、本来血液に乗って流される「発痛物質」や「疲労物質」が体に溜まりやすくなる。

それが痛みや重だるさ、不快感などを招き、こりという形で現れる。代表的なのは、肩こりや首のこり。背中や上腕部にこりを生じることもある。

ただし、こりのメカニズムに関しては、解明されていない部分も多い。

こんな人は注意

なで肩
筋肉が少ない
体が冷えている
デスクワーカー
育児中
など

こりのリセット法

その場でリセット:動かす、温める
自宅でリセット:入浴(炭酸入浴剤を使うとベター)
根本リセット:運動による筋肉の育成

千晶語録

局所的な筋肉の負担によって起きやすい肩こりや首のこりですが、体の歪みやヘルニア、内臓疾患などが原因となっている場合もあります。

しびれや痛みが続く場合は、整形外科の受診をおすすめします。

▼次の記事を読む

関連記事

連載をはじめから読みたい方はこちら

  • お話を伺った人

    福田プロフィール
    医学博士・健康科学アドバイザー
    福田千晶(ふくだ ちあき)先生

    • 1988年、慶應義塾大学医学部卒業。医師として東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学科勤務を経て、1996年より、フリーランスの健康科学アドバイザーとして、講演と執筆、テレビ・ラジオ番組を中心に活動。医療機関での診療、企業の産業医活動も行う。『自分でスッキリ消せる! 肩こり・腰痛・ひざの痛み』(永岡書店)、『心も体もきれいになる!その場で「あたため」ストレッチ』(講談社+α文庫)、『花粉症がみるみるよくなる62の対策』(日東書院)、『1日10分! 足の悩みは自分で治せる』 (実業之日本社) など著書・監修書多数。

      ホームページ

コメント

【初回ネット予約限定】最大2,000円割引!

【初回ネット予約限定】最大2,000円割引!