ニッポンの国民病ともいわれる「肩こり」。今や肩のこりを訴える小学生も増えているようです。そこで今回、プロトレーナーの坂詰真二先生に教えていただくのは、デスクワークの合間や昼休みなどに、オフィスで椅子に座ったまま簡単にできる肩こり改善ストレッチ。
慢性的な肩こりの主な原因として考えられるのは、長時間のデスクワークなどで首や肩の筋肉が緊張することで、血流が阻害されて疲労物質が溜まること。これが肩の疲労感・不快感として現れます。
特にパソコンやスマートフォンの画面をのぞきこんだり、猫背などの悪い姿勢を取ると、重たい頭と腕を支えるために筋肉が過度に緊張し、肩こりを招きやすくなります。「でも、家に帰ってからの運動はちょっと……」という人のために、オフィスでできる簡単ストレッチをご紹介します!
■コラムテーマ
動画つき★『こり・痛み・だるさスッキリ!30歳からのお悩み別ストレッチ』
スポーツ&サイエンス代表 坂詰真二先生
1966年新潟県生まれ。NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。25年を超えるプロトレーナー活動の中で育成したトレーナーは3,000人以上。メディア出演は1,500回以上を数える。書籍・雑誌の監修、テレビ出演など、さまざまな媒体で各年代に応じたコンディショニングを指導。近著(共著)に『世界最新のボディメイク エキセントリックトレーニング』(日本文芸社)。
さっそく肩こり改善ストレッチをやってみよう
「デスクワークなどで緊張した肩まわりの筋肉を、自分の体重を使って伸ばすストレッチです。椅子を握る手に力が入ると筋肉が充分に緩まないので、指を座面の端にかけて行ってください。仕事や家事のすきま時間に、リラックスしながらトライしてみてください」(坂詰先生)。
実際にやってみると首から肩が驚くほど伸びて、クセになる気持ちよさ。しかも、ほぼ周りの人に気づかれない(笑)。デスクワークの合間の“こまめストレッチ”で、こり知らずの体へ!
【1分動画】で全体の流れ&細かい動きをチェック!
プロトレーナーの坂詰真二先生が、実際にモデルさんに肩こり改善のためのストレッチをレクチャー。全体の流れ、細かい動きをチェックしたい人はこちらから!
体重を利用して、肩を大きく伸ばします
STEP1:足を開いて椅子の右半分に座ります
椅子の右半分に座って足を大きく開き、左手の指先を座面の端に引っ掛けます。右手はももの上に。
STEP2:椅子にぶら下がるように、上半身を右に傾けます
肩を落とし、左肘を伸ばした状態で、上半身を右方向に傾けて10秒キープ。体重を利用して、椅子にぶら下がる要領で行うのがポイント。逆も同様に行います。痛みのない範囲で楽に呼吸をしながら3セット。
これはNG!
椅子の端を握り、肘を曲げて腕の力で引っ張ろうとすると、肩まわりの筋肉が収縮してしまいます。指先だけを座面に引っ掛け、力を抜いて体を横に倒しましょう。
伸ばすのはココ!
『僧帽筋(そうぼうきん)』の上部など、首・肩まわりの筋肉を心地よく伸ばします。座ったまま自分の体重を利用して行うため、少ない負担で効率よくストレッチすることができます。
だから『1回10秒』でいい
本連載でご紹介しているストレッチの多くが、1回10秒のストレッチを3回行うというものです。でも、たった10秒で体の柔軟性はアップするのでしょうか? 『1回10秒』の理由を坂詰先生に聞いてみました。
「ストレッチの効果が現れるのは、20~30秒ポーズを維持してからといわれます。しかしセルフストレッチで30秒キープとなると、初心者の場合、そのポーズをつくる筋肉が疲れてしまいます。そこで私がおすすめしているのが、30秒のストレッチを3回に分けて行う方法です」(坂詰先生)。
確かに30秒、同じポーズを維持するのはきついけど、10秒なら初心者でも気軽にできる。それを3回行えば、トータルで30秒のストレッチをしたという計算になります。
「この10秒×3セットというスタイルは、単に筋肉を不要に疲れさせないだけではありません。私の長年のストレッチ指導を通じて、一度に30秒伸ばすよりも、細かく分けて行うとストレッチ効果が高いことが分かっています。たとえば、立ったまま上体を前に倒す『立位前屈』。実際にやるとすぐに分かりますが、回数を重ねるほど指先は床に近づくはずです。同様にひとつのストレッチを10秒ずつ3回行えば、1回目より2回目、2回目より3回目と、その場で柔軟性が増していくのを実感できます」(坂詰先生)。
少ない負担で効果は絶大。緻密な計算の末に生まれたのが『1回10秒』ストレッチなのです。正しいフォームと呼吸で行えば、10秒はかなり濃密な時間に。充分に体が柔らかくなったら、30秒ストレッチを実践してみてください。
坂詰式ストレッチ★5つのオキテ
●その2 呼吸を止めずにリラックスして
●その3 ときどき長くより、毎日短時間
●その4 ストレッチのゴールデンタイムは入浴後と運動後
●その5 伸ばしたい筋肉を意識しない
関連記事
◆監修◆
スポーツ&サイエンス代表
坂詰真二(さかづめ しんじ)先生
スポーツ&サイエンス代表。NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。25年を超えるプロトレーナー活動の中で育成したトレーナーは3,000人以上。メディア出演は1,500回以上を数える。『世界一やせるスクワット』『世界最新のボディメイク エキセントリックトレーニング』(日本文芸社)、『やってはいけない筋トレ』(青春出版社)、『人生100年時代を元気に楽しむための還暦筋トレ(山と渓谷社)』、『1日1分、階段を下りるだけ美骨トレ』(マガジンハウス)など著書多数。