そもそも、こりって何ですか?|医学博士インタビュー①

「女性の5大不調」といわれる、肩こり・首のこり、目の疲れ、冷え、疲れ、アレルギーの原因や、リセット法について、医学博士・健康科学アドバイザーの福田千晶先生に、とことん語っていただくインタビュー連載。第1回目は、ニッポンの国民病ともいわれる、肩こり・首のこりについて。まずは、素朴な疑問を投げかけてみました。

■コラムテーマ
女性の5大不調 ~その原因とリセット法


学博士・健康科学アドバイザー 福田千晶先生
1988年、慶應義塾大学医学部卒業。医師として東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学科勤務を経て、1996年よりフリーランスの健康科学アドバイザーとして、講演と執筆、テレビ・ラジオ番組を中心に活動。

福田千晶先生インタビュー【第1回目】は、肩こりの原因・メカニズムについて

肩こりを自覚していない人も多い

編集部
先生、ズバリお聞きしますが、「こり」って何でしょうか。

福田
そうですね、ひとことでいうと筋肉のハリでしょうか。
本来、筋肉は縮んだり弛んだりすることで、ポンプのような働きをして血液を送っています。

その血液に乗って酸素や栄養が体の各部に届けられ、老廃物を取り除いていく。
ところが、筋肉が緊張した状態が続くと、ポンプ作用がうまく働かずに、血液の流れが阻害されてしまいます。

 

すると本来、血液に乗って流し去られるはずの発痛物質や疲労物質がとどまり、こりや不快感として現れるといわれています。

編集部
こりは、筋肉の緊張によるものなんですね。

福田
はい、そういわれていますが、まだハッキリと分っていない部分も多いんです。
また、肩こりや首のこりを、自覚していない方も結構いらっしゃいます。

編集部

自覚していなければ、こりは放置しておいても構わないのでしょうか。

福田
そうですね。凝った感覚がなければ、さほど気にしなくてもいいのかなと思います。

ただ、ご本人は意識していなくても、医師が触れたときに、びっくりするほど硬くなっているということはあります。
また、こりに慣れてしまったり、あるいは大きな不調や悩みがあると、そちらに気持ちがいってしまって、こりを認識していないことがあるんですね。

動かないことによる「こり」と、動かしすぎによる「こり」

編集部
こりの原因としては、どのようなものが考えられるでしょう。

福田
代表的なのが、局所的に筋肉を使った場合の筋肉疲労
ほかに、体の歪み、内臓の病気なども、こりの原因として考えられます。

編集部
局所的な筋肉疲労というのは、デスクワークの後の肩こりのようなものですか。

福田
そうですね。デスクワークや縫い物のように、同じ姿勢でじっとしていることによるものがそれです。それから、頻繁に赤ちゃんを抱っこしたり下したりする子育て中の方や、一日中フライパンを振っているシェフの方など、同じような動作を続けることも局所的な筋肉の疲労となり、こりの原因になりますね。

編集部
なるほど、動かさないだけでなく、同じ部分を使いすぎるのもよくないんですね。

福田
そうなんです。静止し続けたり、動かし続けたりして特定の筋肉ががんばりすぎと、そこだけ張ったようになります。

これが、一般に“こり”といわれる状態ですね。

こりケアの基本は、「動かす」「温める」

編集部
こりのメカニズムは理解できました。ただ不思議なのが、オフィスで同じようにデスクワークをしていても、常に肩がコリコリの人と、まったく凝らないという人がいます。
その違いは何なのでしょう。肩が凝りやすいタイプってあるのでしょうか。

福田
その人の体の使い方であったり、仕事以外の時間の過ごし方、あとはもちろん体質も違うし、体が冷えていないか、ストレスがあるかないかも、こりに関係してきます。

ただ、一般に肩こりを抱えやすいといわれるのは、なで肩、筋肉が少ない人ですね。

編集部
……となると、女性に多いのでしょうか。

福田
はい、首が細く筋肉が少ない傾向にある女性は、どうしても肩が凝りやすくなります。

そもそも、左右で8キロといわれる腕がぶらさがり、約4キロといわれる重たい頭を支えている人間は、首、背中、肩などが凝りやすい宿命にあります。

編集部
そうですね。そのこりを癒そうと、つい自分でもんだり押したりしてしまいますが、これはアリなのでしょうか。

福田
それで楽になるのであれば、いいと思いますよ。

仕事帰りにマッサージやリラクゼーションに行くのも、とってもいいです。

アスリートの方だって、筋肉を使った後はマッサージを受けますよね。

編集部
手でほぐす以外に、こりを楽にする方法があれば教えてください。

福田
こりケアの基本は、動かす、温めるです。

編集部
動かすというのは、ストレッチのようなものですか?

福田
そうですね、ずっと同じ姿勢でパソコン作業をした後などは、首や肩のストレッチをして、筋肉の緊張をほどいてあげる。

そして温めるという部分でおすすめしたいのは、入浴ですね。お風呂上がりに「あー、肩こった」というのは、あまり聞かない表現だと思います。

編集部
確かに、そうですね。

福田
バスタブに浸かって体が温まると、筋肉がリラックスして血行がよくなりますから、肩や首のハリや痛み、不快感がやわらぐと思います。

炭酸入りの入浴剤を使うと、よりいいですね。血行促進、疲労回復効果が期待できます。

編集部
肩が凝ったら、動かす、温める。覚えやすいですね。動かさないことによる筋肉のこりと、動かしすぎによるこり、どちらも同じケアでいいのでしょうか。

福田

はい、いずれにしても筋肉をゆるめて休ませてあげるということです。
横になってマッサージを受けるだけでも、ハリや痛みはある程度、取り除かれると思いますよ。

▼つづきはこちらから

関連記事

連載をはじめから読みたい方はこちら

 

お話を伺った人

福田プロフィール
医学博士・健康科学アドバイザー
福田千晶(ふくだ ちあき)先生

  • 1988年、慶應義塾大学医学部卒業。医師として東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学科勤務を経て、1996年より、フリーランスの健康科学アドバイザーとして、講演と執筆、テレビ・ラジオ番組を中心に活動。医療機関での診療、企業の産業医活動も行う。『自分でスッキリ消せる! 肩こり・腰痛・ひざの痛み』(永岡書店)、『心も体もきれいになる!その場で「あたため」ストレッチ』(講談社+α文庫)、『花粉症がみるみるよくなる62の対策』(日東書院)、『1日10分! 足の悩みは自分で治せる』 (実業之日本社) など著書・監修書多数。

    ホームページ

コメント

【初回ネット予約限定】最大2,000円割引!

【初回ネット予約限定】最大2,000円割引!