「反り腰」とは、腰のカーブが極端にきつくなっている状態を指します。意外と自分では気づかないものですが、壁に背中とかかとをつけて立ったとき、腰と壁の間に“にぎりこぶし”がすっぽりと入れば立派な反り腰。胸が張られお尻が突き出しているため一見良い姿勢に見えますが、腰痛のリスクが高く、“ぽっこりお腹”を招くことにも。
そんな反り腰は、ハイヒールをよく履く女性や腰の筋肉が硬くなっている人に多く、筋力と柔軟性のアンバランスが原因となっています。腰部へのアプローチで効果的に反り腰を予防・改善するためのストレッチを、プロトレーナーの坂詰真二先生に教えていただきました。
■コラムテーマ
動画つき★『こり・痛み・だるさスッキリ!30歳からのお悩み別ストレッチ』
スポーツ&サイエンス代表 坂詰真二先生
1966年新潟県生まれ。NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。25年を超えるプロトレーナー活動の中で育成したトレーナーは3,000人以上。メディア出演は1,500回以上を数える。書籍・雑誌の監修、テレビ出演など、さまざまな媒体で各年代に応じたコンディショニングを指導。近著(共著)に『世界最新のボディメイク エキセントリックトレーニング』(日本文芸社)。
簡単2ステップ!反り腰予防ストレッチをやってみよう
「反り腰の方は、腰の筋肉が硬くなって背骨の湾曲が強くなると共に、骨盤が過度に前傾しています。ですから、このストレッチでは逆に骨盤を後ろに倒しながら背中を丸めることで、常に緊張している腰まわりの筋肉を伸ばします。お腹を覗き込むように、あごを引くと背中が丸まりやすくなります」(坂詰先生)。
知らないうちに定着した“骨盤のクセ”をリセットして、腰への負担を軽減させるストレッチ。習慣化すれば、ぽっこりお腹も姿を消すかも!
【1分動画】で全体の流れ&細かい動きをチェック!
プロトレーナーの坂詰真二先生が、実際にモデルさんに反り腰予防ストレッチをレクチャー。全体の流れ、細かい動きをチェックしたい人はこちらから!
“反り”による腰の緊張をほぐします
STEP1:両膝を曲げ、外側に向けて座ります
背すじはまっすぐに。左右の足の裏を向き合わせ、膝下を軽くつかみます。
STEP2:お腹を覗き込むように背中を丸めましょう
手をスライドさせて足首をつかみながら、お腹を覗き込むように背中を丸めて10秒キープ。背中に大きなカーブを作りましょう。痛みのない範囲で楽に呼吸をしながら3セット。
これはNG!
あごを出して前傾するのはNG。緊張した腰まわりの筋肉が充分に伸びません。骨盤をしっかり後ろに倒し、あごを引いて背中だけを丸めます。背中のラインは、直線ではなくカーブを描くのが正解。
伸ばすのはココ!
背骨に沿って走っている『脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)』がターゲット。きついカーブによって緊張している腰まわりの筋肉を、背中を丸めることで伸ばしてしていきます。
ストレッチはメンタルにも効果あり!
「明日までに仕上げなければならない仕事がある」。
「苦手な相手と交渉をしなければならない」。
ストレスにさらされたとき、私たちの首や肩、太ももなどの筋肉は緊張して硬くなっています。自律神経の「交感神経」が優位になり、体が戦闘モードに入るからです。
一方、副交感神経の働きが優位になると、心拍数や血圧が安定し心身がリラックスした状態になります。
ストレッチの権威であるアメリカのボブ・アンダーソンは、ストレッチを行う理由として、「筋肉の緊張を和らげ、より一層のリラックス感を与える」「気分を爽快にさせる」ということを挙げています。
そして実際にストレッチは、自律神経の「副交感神経」を優位にさせることが科学的にも証明されています。ストレッチはゆったりとした呼吸と共に行いますが、これも自律神経のコントロールにひと役買っています。
仕事や満員電車、車での渋滞など、日常生活でストレスを感じたら、10秒でもいいので、ゆっくりと呼吸をしながらストレッチを行ってみてください。心身ともに少しリラックスできるはずです。
坂詰式ストレッチ★5つのオキテ
●その2 呼吸を止めずにリラックスして
●その3 ときどき長くより、毎日短時間
●その4 ストレッチのゴールデンタイムは入浴後と運動後
●その5 伸ばしたい筋肉を意識しない
◆監修◆
スポーツ&サイエンス代表
坂詰真二(さかづめ しんじ)先生
スポーツ&サイエンス代表。NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。25年を超えるプロトレーナー活動の中で育成したトレーナーは3,000人以上。メディア出演は1,500回以上を数える。『世界一やせるスクワット』『世界最新のボディメイク エキセントリックトレーニング』(日本文芸社)、『やってはいけない筋トレ』(青春出版社)、『人生100年時代を元気に楽しむための還暦筋トレ(山と渓谷社)』、『1日1分、階段を下りるだけ美骨トレ』(マガジンハウス)など著書多数。