「体の不調にアロマテラピーを試してみたい。でも本当に効果があるの?」
「なぜ『植物の香り』で症状が良くなるのかがわからない。気のせいじゃない?」
アロマテラピーに、そんな不安や疑問をお持ちではありませんか?
眠れなかったり気分の落ち込み、月経前症候群(PMS)など、自律神経系の症状に効果があると近年、人気を集めているアロマテラピー。薬に頼らず、いい香りでつらい症状が手軽に改善できるなら、試してみたいですよね。
ご安心ください。結論からいうと、アロマテラピーの効果は期待できます。この記事では、その理由をわかりやすくご明します。
アロマテラピーは、100%天然の芳香植物を使った自然療法。
「天然の芳香植物の香り」には症状を緩和する成分が実際に存在するそうなのです。
その効能は、消毒・殺菌作用、鎮静作用、免疫系刺激作用など幅広く、年々、科学的にも解明されてきています。
そして、こんなに高い効能があるアロマテラピーですが、実は簡単な方法で生活に取り入れることができるのです。サロンに通わなくても、自分でアロマテラピーができたら嬉しいですよね。
今回は、アロマテラピーに効果が期待できる理由から、お困りの症状にあったアロマの紹介、さらに、自宅で手軽にできるアロマテラピーの方法までお伝えします。
この記事を読めば、正しい知識を持って、今日からアロマテラピーを試すことができます。
心と体の双方に働きかけるアロマテラピー。ぜひその魅力を理解し、安心して「香りの効能」を楽しんでいただければと思います。あなたの長年の悩みも、スッキリ解決できるかもしれません。
1.アロマテラピーの効果は期待できる!
アロマテラピーは効果があり、場合によっては薬に匹敵するほどの効果が出ることもあるのだとか。植物を使ったナチュラルな療法なのに、なぜそんなパワーがあるのでしょうか?
それは、自然成分100%のエッセンシャルオイル(精油)の「香り」にさまざまな作用を持つ成分があるからです。そして「香り」はダイレクトに脳に届いて、自律神経やホルモンバランスを整えることもできるからです。
この章を読んでアロマテラピーの真実を知り、ぜひ「香り」を健康維持に取り入れてみてください。
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関連記事1-1.「香り」の成分に作用がある
アロマテラピーに使われるエッセンシャルオイル(精油)には、さまざまな働きをする成分があります。
エッセンシャルオイル(精油)は、植物の花、葉、実、茎、根、樹皮などから抽出した「香りの成分」です。「香りの成分」は天然の有機化合物の集まりで、1種類のエッセンシャルオイルの中には通常、数十〜数百以上もの有機化合物が含まれています。それらが化学反応を起こし、さまざまな作用と香りを生んでいるのです。
エッセンシャルオイル(精油)に含まれる成分と作用には、大きく分けると次のようなものがあります。
テルペン類・・・・消毒作用、鎮痛、抗炎症作用
アルコール類・・・殺菌、加温作用
フェノール類・・・殺菌作用(刺激を含む)
アルデヒド類・・・鎮静作用(刺激を含む)
エステル類・・・・鎮静作用、抗炎症作用
ほかラクトン類、ケトン類、など
これらの成分たちの複雑な組み合わせがさまざまな作用を作り、アロマテラピーの効果を生み出しています。
アロマテラピーが、肉体的な不調である疲労回復、疲れ目、冷え、凝り、筋肉痛から、精神的な不調の気分の落ち込みや不眠、ホルモン系の不調の月経前症候群(PMS)、そして殺菌・消臭など予防や衛生まで、幅広く役立つといわれる理由はここにあります。
しかし……「『香り』の中に健康に良い働きをする成分があるのはわかったけど、飲んだり塗ったりするのではなく、『香りを嗅ぐ』だけで効果があるって、どういうこと?」
という疑問が残りますよね?
それは「香り」と「脳」の関係によるものなのです。
それを次にご説明していきましょう。
1-2.「香り」は脳にダイレクトに届く
アロマテラピーはオイルの成分に効果があるだけでなく、「香り」を嗅ぐだけでも効果があります。それは「香り」の電気信号がダイレクトに脳に届き、自律神経やホルモン、感情を司る機能に直接働きかけ、不調を調整することが期待できるからです。
人間の五感、視覚・聴覚・触覚・味覚、嗅覚。この中で嗅覚の刺激だけが大脳新皮質を通さず、大脳辺縁系にダイレクトに伝わります。大脳辺縁系は「食欲」や「記憶」「感情」など本能的な機能を司る部位です。その周辺には自律神経の中枢「視床下部」やホルモン分泌にかかわる「下垂体」があるため、刺激が伝わると考えるよりも早く心と体が反応します。
香りをかいで一瞬で昔の感情が甦って胸がキュンとしたり、憂鬱な気分がスーッと爽快になったりするのは、そのためです。
エッセンシャルオイル(精油)の香りも鼻から吸い込まれ、ダイレクトに大脳辺縁系へ伝わり、自律神経の中枢「視床下部」や、ホルモン分泌にかかわる「下垂体」に直接働きかけます。
アロマテラピーが素早く気分を改善したり、ホルモンを整えて美容効果を高めたり、自律神経症を軽減する理由は、ここにあるのです。
1-3.「香り」の成分は肺や皮膚から全身をめぐる
アロマテラピーの効果は、症状の状態とエッセンシャルオイル(精油)の作用が合えば、思いのほか早く感じられます。
その理由は、呼吸をすることで香りの成分が肺に取り込まれ、血流にのって素早く全身をめぐるからです。またマッサージなどで皮膚に塗っても、毛細血管やリンパ管から有効成分が吸収され、全身に運ばれます。
鼻から、肺から、皮膚から……。どのルートでも「香り」の成分は、想像以上に素早く体に浸透していきます。早い場合は、「皮膚に塗ったアロマの芳香成分が1時間後に尿として出て来た」というデータもあるそうです。
アロマテラピーの魅力のひとつは、この即効性。症状にもよりますが、「試したとたんに気分が癒された」「よく眠れた」「頭痛が治まった」などの声は少なくありません。
またアロマを日常的に使っている方々にとったアンケートでは、実に98%もの人が「効果を感じた(※)」と答えているとのこと。(※体調に限らず、気分の改善等も含みます。)アロマテラピーの効果は比較的にどなたも感じやすいといえるでしょう。
1-4.認知症や不妊症も!研究でわかったアロマパワー
芳香植物の作用の仕組みは長らく謎のままでしたが、近年、医療や脳科学の進歩とともに徐々に解明されはじめています。
例えば、認知症へのアロマの効果です。大学の研究で、なんと「香り」で脳の機能が回復することがわかったそうです。アルツハイマー型認知症は、記憶を司る脳の部位「海馬」に障害が起き、認知機能が下がるものです。鳥取大学医学部の研究チームが介護老人保健施設の高齢者に28日間アロマテラピーを実施したところ、認知機能に大きな回復が認められたのだとか。
これは「香り」が大脳辺縁系にダイレクトに届き、香りの刺激で衰えていた海馬の神経を復活させたからです。海馬の神経が回復すると、それに連動する自律神経の症状も回復していくのです。しかもそのときの回復効果は、認知症の薬にも匹敵するほどだったとか。いい香りで認知症が改善されるなら、何よりの朗報だと思いませんか?
参考:(2005)「アルツハイマー病患者に対するアロマテラピーの有用性」
実験では、高度アルツハイマー病65例を含む、高齢者77例を対象として行われました。アロマテラピーを実施した期間中は、朝にローズマリー・カンファーとレモン精油、夜にラベンダーとオレンジ・スイート精油をディフューザーで散布しました。その結果、手指名称記憶の点数で有意な改善がみられました。出典:認知症に対するアロマテラピーの有用性/日本アロマ環境協会
そのほか、不妊症にもアロマテラピーが有効だと考えられ、統合医療の一貫として取り入れる医院も増えているそうです。
アロマテラピーはホルモンバランスや自律神経を整えることが得意なので、排卵を促す効果も期待できると考えられています。
1997年に医師や看護師、薬剤師など医療に関わる人々で日本アロマテラピー学会が作られました。西洋医学が不得意な心や脳、神経、ホルモン等に関する分野に、アロマテラピーの力を取り入れようとする動きが進んでいます。
ストレスフルな現代社会では生活習慣病や自律神経失調症状が増えているそうで、また人口の超高齢化で認知症や終末期ケアなどの問題も深刻になっていると言われています。
心と体を同時に癒してくれるアロマテラピーは、これからますます私たちの生活に必要なものとなってくるでしょう。
2.症状別おすすめのアロマ
症状別におすすめのアロマ(エッセンシャルオイル)があります。それは各アロマによって、それぞれ違う作用をする成分が含まれているからなのです。
ここでは具体的な症状に分けて紹介しますので、自分の悩みに合ったアロマを選んでみてください。ただし、アロマテラピーでは「自分が嗅いで、気持ちよく感じる」ことが一番です。ここを参考にして、実際にお店に行って香りを試してみて、心地よく感じるものを選んでください。
2-1.気分の落ち込みにおすすめのアロマ
これらのアロマの成分には、気分の落ち込みを改善する作用があると言われています。沈みすぎた気分を明るくしたり、忙しすぎてストレスで煮詰まった気分を解放したりしてくれるかもしれません。
①ラベンダー
草の青っぽさが残るフローラルで穏やかな香りです。鎮静作用と高いリラックス効果があると言われています。自分をうまく表現できないとき、後悔があるとき、繊細で傷つきやすい気分のときにおすすめです。
②ローズマリー
草木のスッキリした香りです。強壮作用が期待でき、心身を温め、沈んだ気持ちを元気にしてくれそうです。深い悲しみを引きずっているときにぴったりです。
③ローマン・カモミール
甘いりんごのような草の香りです。鎮静と緩和の働きが期待でき、不安やイライラを取り除いてくれそうです。気分のアップダウンや、すぐにカッとしてしまうとき、穏やかに落ち着きたいときに。
④シダ―ウッド
甘くウッディな香りです。鎮静と高揚の両面の作用が期待でき、精神のバランスを保ってくれそうです。不安、緊張の緩和に。
⑤ベルガモット
グリーンシトラスの甘く爽やかな香りです。鎮静とリフレッシュ作用が期待できます。働きすぎで精神が張りつめたり煮詰まっていたりする方におすすめです。
⑥マージョラム
スパイシーなハーブの香りです。鎮痛と温めの作用が期待でき、心がホッと緩みます。仕事に集中しすぎて、リラックスの仕方を忘れてしまったときにおすすめです。
⑦ゼラニウム
グリーンフローラルの甘くて強い香りです。精神のバランスを保つ作用が期待できるので、不安でソワソワする気分を落ち着かせたいときに向いています。
⑧ジャスミン
しっとりした濃く甘い花の香り。高揚と鎮静の作用が期待でき、精神のバランスを保ちたいときにおすすめです。子宮強壮作用もあると考えられていて、女性ホルモン系の気持ちのアップダウン症状にも向いています。
⑨オレンジ・スイート
甘くフルーティな香りです。リラックスと高揚作用、浄化作用が期待できます。気分を明るくし、もやもやした頭をスッキリさせてくれます。
⑩レモン
グリーンシトラスの香りです。精神強壮作用が期待でき、気分を爽やかにリフレッシュしてくれます。
2-2.眠れないときにおすすめのアロマ
鎮静作用や高揚作用など、心のバランスを取りたいときにぴったりのアロマです。穏やかな香りで、心を鎮めて眠りに導いてくれると言われています。
①ラベンダー
草の青っぽさが残るフローラルで穏やかな香りです。鎮静と高いリラックス効果が期待できます。不眠症対策に1番人気。繊細で傷つきやすい人、深い悲しみで眠れないときにも。
②ベルガモット
グリーンシトラスの甘く爽やかな香りです。鎮静とリフレッシュ作用があると言われ、仕事の緊張が取れなくて眠れないときに、心を解放してくれます。
③ネロリ
フローラルなオレンジの香りです。リラックスしたいときや、強い不安感、緊張感があって眠れないときにおすすめです。
④ローズ
甘いバラの香り。強壮とリラックスの作用が期待でき、ストレス緩和に効果があると言われています。女性ホルモンに働きかけるので、生理前の気分の落ち込みにも向いています。自尊心が傷ついて怒りっぽくなっているときに使うと、自信を取り戻し、元気が出ると人気があります。
⑤フランキンセンス
甘くスパイシーな樟脳の香り。精神強壮作用が期待でき、インドや中国では瞑想に使われてきました。忙しさに振り回されていて、自分のペースを取り戻したいときにおすすめです。
⑥サンダルウッド
甘くウッディな香りです。鎮静作用、精神強壮作用が期待でき、頭が混乱して考え事がぐるぐるして眠れないときにおすすめです。気分が落ち着くので瞑想にも使われます。
⑦オレンジ・スイート
甘くフルーティな香りです。リラックス効果が高く、不安から解放され、明るい気持ちで眠れるようになると言われています。
⑧イランイラン
フローラルで甘く、強い香りです。高い鎮静作用が期待でき、緊張、イライラがつのってパニックになっているときにもおすすめです。
⑨ゼラニウム
グリーンフローラルの甘くて強い香りです。精神のバランス調整作用があると言われています。自信をなくして、前進できないときに心に余裕を与え、楽しい気分にしてくれるでしょう。
⑩クラリセージ
ビタースイートな草木の香りです。ホルモンを調整する作用が期待でき、生理前の気分の落ち込みにもおすすめです。筋肉を緩める作用もあるとされており、悲しみや緊張で凝り固まった体がほぐれ、リラックスできると言われています。
2-3.月経前症候群(PMS)におすすめのアロマ
女性ホルモンの分泌を促したり、ホルモンのバランスを正常に整えたりすると言われているエッセンシャルオイル(精油)です。鎮痛・鎮静作用もあるので、月経痛やイライラの改善の効果も期待できます。
①ラベンダー
高い鎮静作用でPMS特有のつらいイライラを収めてくれると人気があります。鎮痛作用も期待できるので月経痛にもおすすめです。
②ローズ
女性ホルモン・エストロゲンの分泌を増やし、ホルモンバランスを整える効果が期待できます。肌の調子を整えたいときにもおすすめです。
③ゼラニウム
ローズ同様、エストロゲンの分泌を促し、バランスを整えます。情緒が不安定なときにもおすすめです。
④ネロリ
心を落ち着かせる作用が期待でき、ストレスや不安からくる腹痛や頭痛改善にも向いています。
⑤グレープフルーツ
自律神経を整え、生理前に増える食欲を抑えてくれると人気があります。血行やリンパの流れを良くすると言われ、脂肪燃焼やむくみ、セルライトの改善にもおすすめです。
2-4.認知症におすすめのアロマ
大学の認知症の研究で効果が出たと有名になった香りです。お店に行くとすでにブレンドされたものも売っています。もちろん単品で使用しても効果が期待できます。
①(朝用)レモンとローズマリー
活性作用があると言われ、レモンは気分をリフレッシュ、ローズマリーは記憶力や集中力を高める効果が期待できます。実際に大学の研究では認知症に一番効果がありました。
※ブレンドする場合はレモン1:ローズマリー2の割合
②(夜用)ラベンダーとスイートオレンジ
鎮静作用があると言われ、心をリラックスさせ、安眠を助けるのがラベンダーとスイートオレンジの香りです。眠りが浅くなりがちな高齢者にぴったりです。
※ブレンドする場合はラベンダー2:スイートオレンジ1の割合
2-5.花粉症・アレルギー性鼻炎におすすめのアロマ
アロマには殺菌効果があるものや免疫系に働きかけるものもあります。風邪の予防や花粉症を改善したいときには、こちらの香りがおすすめ。香りはどれも爽やか系です。
①ユーカリ
強力な殺菌作用と抗ウイルス、抗炎症、解熱の作用が期待できます。風邪、熱、せき、のど、気管支の炎症改善におすすめです。
②ティートリー
免疫系を刺激し、抗ウイルス、殺菌、消毒作用が期待できます。風邪やインフルエンザ予防にぴったりです。
③ペパーミント
消毒作用が期待でき、呼吸器に働きかけるそうです。痰や鼻づまり解消におすすめです。
④サイプレス
収れん作用が期待でき、過剰な排泄を抑えると言われています。鼻水が多いときや、下痢や止血に。解毒作用があり、体内を浄化してくれる香りだと考えられています。
3.予防と癒しにおすすめのアロマ
日常の生活の中にアロマテラピーを取り入れることで、病気予防やストレス解消に役立ちます。シーン別におすすめアロマを紹介します。自分の目的にあったアロマを選んで、快適な空間を作ってみましょう。
3-1.集中力を高めたいときのアロマ
ローズマリー、ベルガモット、ゼラニウム、ペパーミント、ユーカリ、レモン。
勉強や仕事中に頭が疲れてぼんやりしてきたら、このアロマ。高揚作用や活性作用があり、コーヒーや眠気覚ましのドリンクに頼らなくても、頭の中がスッキリしてくるそうです。
3-2.リラックスしたいときのアロマ
ラベンダー、カモミール、ジュニパー、ネロリ、ゆず、イランイラン、ローズウッド
仕事のストレスがとれないとき、気が張りつめて息苦しいときにはこのアロマ。鎮静作用や気分を高揚させる力があるとされています。
3-3.疲れが取れないときのアロマ
スイートマージョラム、ローズマリー、ジンジャー、ジュニパー、マージョラム、ラベンダー、カモミール
体を温めたり、老廃物の排出を助ける効果が期待できるアロマです。疲労回復や夏バテにぴったり。お風呂に入れたり、マッサージに使うのがおすすめです。
3-4.風邪をひきたくないときのアロマ
ユーカリ、ジュニパー、パイン、サイプレス、ラベンダー、カモミール
殺菌力があり、免疫を高める効果が期待されるアロマです。インフルエンザや風邪予防対策として、アロマポットやアロマスティック、ディフュ―ザーを使ってお部屋全体に香りを漂わせる使い方が人気です。
3-5.女らしさをアップしたいときのアロマ
ローズオットー、ゼラニウム、クラリセージ、サイプレス、ジャーマンカモミール
ホルモン分泌を促し、子宮まわりの血行をよくして女性らしさを高めるとされるアロマです。美肌効果はもちろん月経痛予防、更年期にもお試しください。
※ホルモン型の疾患がある方は使用しないでください。
3-6.最初の1本に「万能の香り」ラベンダー
香り選びに迷ったら、用途が広い「万能の香り」といわれるラベンダーがおすすめです。毒性がないので、希釈しないで直接肌についても大丈夫とされています。ただ使用時には少しずつ使用し、問題がないかチェックしてください。
不眠症の改善が期待できることで有名な香りですが、ほかにも神経のバランスを保つ作用、鎮静作用、抗菌作用、抗炎症作用、消臭作用が期待でき、心と体の不調改善や、病気予防、生活の衛生維持にも。価格もエッセンシャルオイルの中では手に取りやすい方なので、アロマデビューの最初の1本にぴったりです。
4.基本的なアロマテラピーの方法
アロマテラピーというと何だか難しそうな感じがしますが、実はとても簡単に楽しめるものです。特別な道具がなくても大丈夫。誰でも手軽にできる、基本的なアロマテラピーの方法を5つご紹介します。自分のつらさに合った、行いやすい方法から、ぜひ試してみてください。
※アロマテラピーに使うアロマオイルは天然成分100%のエッセンシャルオイル(精油)をご使用ください。その際には分量は必ず守ってください。また刺激の感じ方は個人によって異なるので、違和感があった場合には即使用を中止してください。
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4-1.芳香浴
お部屋の空気中に香りを漂わせて楽しむ、一番基本的な方法です。リラクゼーションはもちろん、使うオイルによって体調不良の改善や風邪の予防なども期待できます。
芳香浴を手軽に行うならティーカップにお湯を入れて、エッセンシャルオイル(精油)を数滴たらしてもOK。ハンカチやティッシュにオイルを数滴たらして、机の上に置くだけでも効果があります。
お部屋全体に香りをしっかり漂わせたいときは、アロマポッドやアロマスティック、ディフューザーなどの道具を使うと良いでしょう。また、消臭で使いたい場合はルームスプレーを作って、お部屋全体にまくとより効果的です。
ルームスプレーの作り方
(用意するもの)
・精製水 20ml
・無水エタノール 5ml
・エッセンシャルオイル1〜3種類
・スプレー容器
(作り方)
① 無水エタノール5mlを容器に入れ、エッセンシャルオイル(精油)を5滴(複数の種類を使いたい場合は合計で5滴)加え、混ぜる。
② そこに精製水20mlを加えて、フタをしてよく混ぜて、完成。
4-2.吸入
鼻やのどの不調におすすめの方法です。まず洗面器に熱いお湯を入れ、そこにエッセンシャルオイル(精油)を2〜3滴たらします。顔を近づけて静かに湯気を吸い込みましょう。バスタオルを頭から覆って、顔全体に湯気を浴びれば美肌にも効果があります。
※吸入は刺激が強い方法なので、数分から5分以内にやめてください。呼吸器系の持病や発作がある方は避けてください。
4-3.マッサージ
凝りや冷え、疲れが溜まったときはマッサージがおすすめです。マッサージの方法は気になる部分にマッサージオイルを塗って、自分が気持ちいいと感じる力で揉みほぐしたり、押し流せばOKです。
ただし、マッサージオイルの作り方には厳密なルールがあります。それは「エッセンシャルオイルの濃度が1%以下」になるように作ること。濃度が高すぎると肌トラブルの原因になってしまうこともあります。
「1%ってどうやって計るの?」と心配になるかもしれませんが、実はエッセンシャルオイルの1滴が0.05mlに設計されているので、「ベースオイル小さじ1に対して、エッセンシャルオイル1滴」の割合で覚えればいいのです。以下、希釈の割合です。
濃度1%のマッサージオイルを作りたい場合の希釈の割合 | |
ベースオイル5ml | エッセンシャルオイル1滴 |
ベースオイル10ml | エッセンシャルオイル2滴 |
ベースオイル20ml | エッセンシャルオイル4滴 |
ベースオイル30ml | エッセンシャルオイル6滴 |
ベースオイル40ml | エッセンシャルオイル8滴 |
ベースオイル50ml | エッセンシャルオイル10滴 |
ベースにするオイルは、アーモンドオイルやホホバオイルなどの植物油が最適です。ビタミンやミネラルが豊富で、肌への吸収力も優れています。マッサージオイル作ったら、油の劣化を防ぐために遮光性のある瓶に入れ、早めに使い切るのがおすすめです。
4-4.湿布
湿布は腰痛や筋肉痛、生理痛など、部分的な症状に効果的です。温湿布は皮膚の毛細血管を広げて血流をアップ。治癒力が高まります。患部が熱を持っている場合は冷湿布がおすすめです。
<温湿布の方法>
①洗面器にお湯を入れ、エッセンシャルオイルを3滴ほどたらします。
②木綿のタオルか布を①に入れて、表面に浮かぶオイルを染み込ませ、絞って患部に当てます。
③上からラップをまくとさらに効果的です。冷めたら取り替えて、20分〜1時間当てましょう。
<冷湿布の方法>
①洗面器に氷水を入れ、エッセンシャルオイルを3滴ほどたらします。
②木綿のタオルか布を①に入れて、表面に浮かぶオイルを染み込ませ、絞って患部に当てます。
③上から氷嚢などで冷やすとさらに効果的です。自分が気持ちいいと思う時間でやめましょう。
5.アロマテラピーを行うときの注意点
アロマテラピーは体に優しいイメージがありますが、100%安全なわけではありません。エッセンシャルオイル(精油)は濃度が高い植物のエキスなので、取り扱いによっては刺激や危険をともなう場合もあります。注意事項を必ず守ってお使いください。
5-1.原液を肌につけない
エッセンシャルオイル(精油)の原液は刺激が強いので、必ず希釈して使いましょう。もし原液が皮膚についてしまったら、流水ですぐに洗い流してください。
目に入った場合も大量の水で洗い流してください。異常が出た場合は、すみやかに医師の診断を受けてください。重度のアレルギー反応や中毒症状が出た場合は救急病院へすみやかに行ってください。
5-2.飲用しない
ヨーロッパなどでは医師の指導のもと飲用するケースもありますが、日本では禁止されています。誤って飲んでしまった場合は、口をすすぎ、吐かずにすぐに医師の診察を受けてください。病院には飲んでしまったオイルの瓶を持っていってください。
5-3.妊娠中に使用するとき
希釈したものなら基本的に問題ないとされますが、子宮収縮作用や女性ホルモンに影響するものもあるので、医師やアロマテラピーの療法士に相談できない場合は、避けた方が安全です。
特にクラリセージ、セージ、バジル、シスタスの使用は避けてください。
5-4.乳幼児に使用するとき
3歳未満の乳幼児には刺激が強いので、芳香浴以外は行わないでください。3歳以上の場合もできるだけ刺激の少ないオイルを希釈して、大人の10分の1〜最大でも4分の1以下の使用量にしましょう。
5-5.柑橘系のオイルの光毒性
柑橘系のエッセンシャルオイル(精油)の中には、肌についた状態で紫外線に当たると皮膚にダメージを与え、シミ・シワの原因になるものがあります。これを光毒性といいます。
光毒性があるのはベルガモット、レモン、グレープフルーツ、ライム、オレンジ・ビターなどです。日中や外出前は使わないようにしましょう。※柑橘系でもネロリ、オレンジ・スイートなど光毒性のないものもあります。
5-6.病気治療中のとき
アロマテラピーにはさまざまな効果があり、中には血圧をあげる、心臓に刺激を与えるとされているものもあります。病気がある人、薬を飲んでいる人が自己判断でエッセンシャルオイル(精油)を選ぶのは危険です。必ず使用前に医師と相談し、アロマテラピーのプロがいるお店で適したオイルや方法を選んでください。
5-7.100均のアロマは使わない
いわゆる「100円ショップ」で売っているアロマオイルは人工の合成香料です。植物の持つ薬効的な効果を求めるなら、100%植物から抽出された天然のエッセンシャルオイル(精油)を使いましょう。
6.まとめ
アロマテラピーは、さまざまな不調に効果が期待できる芳香植物療法です。効果が期待できるその主な理由は……。
- エッセンシャルオイル(精油)には、さまざまな働きをする天然の成分があること
- 「香り」の信号はダイレクトに脳を刺激して、自律神経やホルモンの分泌を促すこと
- 薬効成分が肺や皮膚から浸透して、全身をめぐること
特にアロマテラピーは、西洋医学の対処療法ではスッキリしない自律神経系、ホルモン系の不調改善に役立ちます。ぜひ好きな香りを楽しみながら、あなたの健康維持や心の癒しにお役立てください。
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