日本人のおよそ5人に1人が悩んでいるという腰痛。腰痛は直立二足歩行を獲得した人間特有の症状ともいえます。腰に負担のかかる姿勢、運動不足、骨の老化、ストレスや寒さによる筋肉の緊張など、考えられる原因はさまざまですが、実は腰痛の8割が原因不明なのだとか。
「長時間座っているのがつらい」「かがむと腰に違和感を覚える」など、仕事や家事のパフォーマンス低下にもつながる腰痛。慢性的な痛みの対処法としては、ストレッチやマッサージ、ツボ刺激などが効果的です。
そこで、自宅で簡単にできて腰の両サイドが心地よく伸びる、腰痛の予防・改善のためのストレッチをプロトレーナーの坂詰真二先生に教えていただきました。
■コラムテーマ
動画つき★『こり・痛み・だるさスッキリ!30歳からのお悩み別ストレッチ』
スポーツ&サイエンス代表 坂詰真二先生
1966年新潟県生まれ。NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。25年を超えるプロトレーナー活動の中で育成したトレーナーは3,000人以上。メディア出演は1,500回以上を数える。書籍・雑誌の監修、テレビ出演など、さまざまな媒体で各年代に応じたコンディショニングを指導。近著(共著)に『世界最新のボディメイク エキセントリックトレーニング』(日本文芸社)。
さっそく腰痛予防ストレッチをやってみよう!
「ターゲットとなるのは、背骨の両サイドにある腰の筋肉。骨盤を固定した体勢で上体を横に曲げることで、左右の筋肉をピンポイントで伸ばします」(坂詰先生)。
立ちっぱなしや座りっぱなしの生活は、腰に負担がかかりやすいもの。入浴後や就寝前に、疲労した筋肉を効率よく伸ばして腰痛の予防・改善を図りましょう。
【1分動画】で全体の流れ&細かい動きをチェック!
プロトレーナーの坂詰真二先生が、実際にモデルさんに腰痛予防ストレッチをレクチャー。全体の流れ、細かい動きをチェックしたい人はこちらから!
腰の両サイドを交互にしっかりと伸ばします
STEP1:床に座り、足を交差させます
床に座り、右足の膝を立てて左膝の外側に置きます。左手は体の後ろで床につけ、右手は膝下へ。まっすぐ前を向きます。
STEP2: 右のお尻を上げて骨盤を左正面へ
右手で膝を押しながら、右のお尻をぐいっと引き上げて骨盤を左側に向けます。このとき、骨盤だけでなくお腹・胸・顔すべてを左側に向けるのがポイント。爪先はまっすぐに。このまま10秒キープ。逆も同様に行います。痛みのない範囲で楽に呼吸をしながら3セット。
これはNG!
お尻が床に残った状態では、腰が充分に伸びません。顔から骨盤の向きを一斉にチェンジしましょう。
伸ばすのはココ!
腰の両サイドにある『腰方形筋(ようほうけいきん)』は、腰骨をサポートする働きがあり、長時間座ったり立ったりしていると疲労がたまりやすい筋肉です。腰痛に大きく関わるこの筋肉を習慣的に伸ばして、効果的に腰痛予防を!
筋肉は自ら伸びることができない
たとえば肘を曲げて力こぶを作ったとき、盛り上がっている「上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)」という筋肉は収縮した状態になっています。
今度は肘を伸ばしてみます。
力こぶは元に戻りますが、このとき上腕二頭筋が自ら伸びたわけではありません。
ただ弛緩しているだけなのです。
実は筋肉にできるのは、「収縮」と「弛緩」だけ。
筋肉は他の力に引っ張られることで伸びて緩みます。そして、使わないと筋力が落ちるだけでなく、硬くなって柔軟性が失われるのも筋肉の特徴。これが肩こりや腰痛、不眠、冷えなど、さまざまな不調の原因にもつながります。
「定期的に伸ばさないと筋肉は正常に弛緩することができず、柔軟性が低下することに。ストレッチは筋肉の緊張を和らげて、柔らかくするためにとても効果的な運動です」と坂詰先生。
「疲れた」と「筋肉が張った」と感じる前にこまめにストレッチをすることで、筋肉の緊張・こりは予防することができます。同じ姿勢を続けたら、1時間に1回は休憩をとってストレッチを行いましょう。
坂詰式ストレッチ★5つのオキテ
●その2 呼吸を止めずにリラックスして
●その3 ときどき長くより、毎日短時間
●その4 ストレッチのゴールデンタイムは入浴後と運動後
●その5 伸ばしたい筋肉を意識しない
◆監修◆
スポーツ&サイエンス代表
坂詰真二(さかづめ しんじ)先生
スポーツ&サイエンス代表。NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。25年を超えるプロトレーナー活動の中で育成したトレーナーは3,000人以上。メディア出演は1,500回以上を数える。『世界一やせるスクワット』『世界最新のボディメイク エキセントリックトレーニング』(日本文芸社)、『やってはいけない筋トレ』(青春出版社)、『人生100年時代を元気に楽しむための還暦筋トレ(山と渓谷社)』、『1日1分、階段を下りるだけ美骨トレ』(マガジンハウス)など著書多数。