普段何気なく揉む手には、肩コリや目の疲れを緩和したり、自律神経を整えて疲労回復に繋がるといった沢山のツボがあります。「ツボ押しは自己流でやっている」という方も多いと思いますが、それでは勿体無い!
今回の記事では、手のツボの位置やツボの押し方、正しいツボの位置の見つけ方といった基本的なことから、手のツボが持つ効果やマッサージをするのに最適なタイミングと頻度までを、詳しく解説します。
ちょっとした時間で簡単にできる手のツボマッサージ方法を身につけて、リフレッシュしてみてはいかがでしょうか。
※マッサージについて
本稿で言うマッサージは、資格などを持っていない施術者の行っているリラクゼーション行為も含んでおり、広義のマッサージとして表現しています。
1.手のツボを正しく押すコツと基礎知識
1-1.一つのツボを押すのに6秒かけ、呼吸を意識する
ツボは、利き手の親指の平を使って3秒かけてゆっくり押し、3秒かけてゆっくり戻すのが正しい押し方。こうすることで、ツボまで力がしっかり伝わります。
同時に、お腹の底から息を吐きながらツボを押し、息を吸いながら力を抜きましょう。筋肉は息を吸うと収縮し、息を吐くとリラックスします。その状態でツボを押すと圧力が伝達しやすくなり、余計な力を使わずに効果を上げることができるからです。さらに、身体が凝っている人やストレスを感じている方は呼吸が浅い人が多いため、吐く、吸うをしっかり意識して行いましょう。
1-2.痛気持ち良い程度の力加減で、3回~5回押す
ツボ強く押しすぎると、筋肉組織を傷つけてしまう可能性があるため、「痛気持ち良い」と思うくらいの力加減で押して下さい。1つのツボに対して1~2回では刺激が足りず、6回以上だと筋肉組織を傷つけてしまう可能性があるため3~5回押してください。良い塩梅で刺激することができます。
1-3.「くぼみがあり、強く押すとジーンと痛みを感じる場所」を押す
ツボを探す時は、目安となる関節や骨などからおおよその見当をつけて押してみましょう。くぼみがあり、強く押すとジーンと痛みを感じる場所にツボはあります。なぜなら、ツボは刺激することで神経に働きかけるポイントなので、多くの場合は骨や肉に守られるように骨の裏側やキワにあることから、くぼんだ箇所にあるのです。
人によってツボの位置は微妙に異なり、また同じ人でも体調によってツボの位置が移動することもあるので、その都度「自分のツボ」を探すことが、効果的な手のツボマッサージに繋がります。
1-4.不調が右側の場合は右手、左側の場合は左手のツボを押す
右手と左手のツボの位置は同じですが、左右のツボは末梢神経を通じて体の各部に対応しているので、身体の右側に不調がある場合は右手、左側に不調がある場合は左手のツボを押すようにしましょう。例えば、右側の肩が凝っている方は、右手にある肩コリに効くツボを押すと効果的です。そのため、片方だけ押すのではなく、左右どちらのツボも押しましょう。
1-5.ツボを押すと痛い時は不調のサイン
ツボを押したときに「明らかに痛む」「色が変わる」「硬くなる」といった異変がある場合は、そのツボに反射している臓器の働きが落ちていたり、毒素が溜まっているという不調のサインです。老廃物が溜まると、その場所がしこりのように硬くなります。しこりやこわばりのように硬くなった場所を刺激すると痛みが出るのです。ちなみに痛みを我慢してまでツボを強く押すと、防御反応で身体が緊張してしまい逆効果になるので、我慢は禁物です。
2.手のひらのツボの位置
手のツボの押し方の基本は1章に書きましたが、ここからは手のひら、手の甲、手首にあるツボの位置を紹介します。押し方に注意が必要なツボは、押し方についてはやり方を添えてありますので、その他は1章で記載した方法で試してください。
なお、ツボを押す前に手のひらをこすり合わせて温めておくと、ツボ押しの効果がアップします。
①肩コリ・首コリに効く後渓(こうけい)
手の小指側の側面をなぞり、小指の付け根の下にある出っ張っている骨の部分です。手のひらと甲の境目のライン上にあります。側面に向かって垂直に押してください。
②倦怠感・自律神経のバランスを調節する労宮(ろうきゅう)
手をグーにした時に中指の先端が手のひらに当たるところにあります。
③イライラの解消に効く心穴(しんけつ)
中指の第一関節の中央にあります。
④胃痛などの消化器系に効く胃腸点(いちょうてん)
手のひらの中心よりも少し下、中指と薬指の間から下ろした線が生命線と交わるところにあります。
⑤飲み、食べすぎ・下痢に効く魚際(ぎょさい)
手のひらと手の甲の境目にあり、親指の第二関節の下のへこんでいる部分にあります。
3.手の甲のツボの位置
⑥肩コリ・腰痛・緊張などに効く合谷(ごうこく)
親指と人差し指の骨が接する部分を、人差し指側に向かって押し、少し痛みを感じる部分にあります。
⑦背中・肩・首のコリに効く商陽(しょうよう)
人差し指の爪の生え際の親指側にあります。
⑧首・肩のコリに効く少沢(しょうたく)
小指の爪の付け根の外側にあります。
⑨腰痛に効く腰腿点(ようたいてん)
人差し指と中指の骨の分かれ目と、薬指と小指の骨の分かれ目。片手に2点あります。
⑩目の疲れに効く小骨空(しょうこっくう)
小指の第一関節の中心にあります。
4.手首のツボの位置
⑪肩コリに効く外関(がいかん)
手首の甲側の関節から指3本分離れたところの中央にあります。
⑫緊張をほぐし、イライラを和らげる神門(しんもん)
手首の付け根にある横のシワと、小指から手首に下した線が交わるくぼんでいるところにあります。
⑬胃の不調や不快感に効き、安眠効果がある内関(ないかん)
手首の内側の関節のシワから指3本分離れたところの中央にあります。外関のちょうど裏側です。
5.手のツボ押しマッサージをするべき最適なタイミングと頻度
5-1.安眠効果があるため寝る前がおすすめ
手のツボ押しマッサージは通勤途中や仕事の合間でも実践できますが、特におすすめなのは夜の時間帯です。手を揉むことは脳の前頭前野という領域の神経活動を抑え、リラックス効果がもたらされるからです。更に、2章で紹介した安眠効果がある「内関」というツボを押せば、ぐっすり眠れるようになります。
5-2.理想の頻度は毎日10分間
手のツボマッサージは、10分間を毎日行うのが理想です。なぜなら、1日で長時間マッサージするのでは一時的な効果しか得られないので、短い分数で毎日続けることが重要だからです。1日最低10分間のマッサージを継続して行うことで、効果が確実に得られます。
6.足ツボマッサージとの違い
「そもそも、手のツボと足のツボのどちらをマッサージすれば良いの?」と疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、違いをざっくり言うと、手には上半身に効くツボが多く、足には下半身に効くツボが多いという傾向があります。デスクワークが多い方は、血行が悪くなる、目が疲れやすい、肩が凝るといった上半身の症状が出やすいため、手のツボ押しマッサージが効果的と言えます。
足ツボマッサージについてもっと知りたい方は、こちらの記事を参考になさって下さい。
「足つぼを押して痛いところでわかる不調と効果的な足ツボマッサージ」
関連記事7.まとめ
今回ご紹介した手のツボ押しマッサージは、ちょっとした空き時間で実践でき道具も必要ないため、気軽にできるのも魅力です。
・1つのツボ押しに6秒かけ、息を吐きながらツボを押し、息を吸いながら力を抜く
・「痛気持ち良い」という力加減で、1つのツボにつき3~5回押す
・くぼみがあり、押すとジーンと痛みを感じる場所を探し、正確なツボの位置を捉える
・右に不調があるときは右手、左のときは左手のツボを押す
・ツボを押して痛いときは不調のサインで、強く押すと逆効果になるので我慢は禁物。
といったポイントを押さえるだけで、なんとなくやっていた手のマッサージが劇的に変わります!正しく効果的なマッサージをして、身体を労わってあげて下さい。