せっかくの年末年始。
ゆっくり休んでいるはずなのに
なぜか肩や腰が重だるい……。
そんな経験はありませんか?
「正月太りのせいかな?」「運動不足かな?」と思われがちですが、実はその裏には、生化学的な「内臓の疲れ」と、日常生活では行わない「特異な姿勢」が隠れています。
今回は、「年末年始の不調」の正体と、その対策を科学的な視点でお届けします。
1. その腰痛、実は「内臓の疲れ」かも?
意外かもしれませんが、年末年始の腰痛の原因は、腰そのものにないことが多々あります。
脳が起こす「関連痛」の罠
ごちそうやお酒を楽しみ、内臓(胃腸や肝臓)が疲弊すると、そのストレスは「筋膜(ファシア)」を通じて全身に伝わります。内臓のSOS信号が脊髄を通って脳に伝わる際、脳はそれを「近くにある腰や背中の痛み」として誤認してしまうのです。これを臨床的に「関連痛」と呼びます。
• 対策: 腰を揉む前に、まずは「内臓」を休ませる
• ポイント: 1日1食をスープにする、夜20時以降は食べないなど、代謝負荷を減らすことが腰痛解消の近道です。
2. 「隠れ疲労」に気づかない麻痺状態
年末年始は、イベントの高揚感や「掃除を終わらせなきゃ」という義務感から、脳内でアドレナリンやコルチゾールが分泌されます。
これらは一時的に痛みや疲れを麻痺させるような役割を果たします。しかし、その裏側では組織の修復エネルギーが抑えられ、ダメージが蓄積し続けています。
連休明けにドッと疲れが出るのは、この「麻痺」が解けて、蓄積したダメージが一気に表面化するためです。
3. 人間工学で解明!大掃除の「正しい姿勢」
年末の恒例行事、大掃除。実はここにも急性腰痛(ぎっくり腰)を招くリスクが潜んでいます。
中腰は椎間板の敵
床掃除の際の「中腰姿勢」は、直立している時に比べて、背骨のクッションである椎間板に数倍の圧力をかけます。
• 改善策: 雑巾がけや床掃除は、「片膝を床につく」こと。
これだけで重心が安定し、腰椎の過度な曲がりを防ぐことができます。
4. 健やかな新年を迎えるための3ステップ
1. 長時間の座り姿勢を避ける
1時間に1回は立ち上がり、大きく伸びをして活性酸素を溜めないようにしましょう。
2. 筋膜をゆるめる入浴
38〜40℃程度のぬるめのお湯に15分浸かり、浮力を使って筋膜の緊張をリセットします。
3. 体幹を使って動く
荷物を持つとき、掃除をするときは「腕の力」ではなく「体重移動」を意識。これだけで局所的な疲労を防げます。
年末年始の不調は、あなたの体が発している大切なサインです。「気合い」で乗り切るのではなく、仕組みを理解して正しくケアすることで、清々しい気持ちで新年をスタートさせましょう。
