男性に比べて女性は便秘に悩みがちで、20~30代でも便秘に苦しんでいる人は多くいます。便秘とは、大腸に便が溜まったままになった状態。放っておくと、さまざまな健康被害が現れます。そのため、便秘の原因や女性に多い理由を正しく理解し、早めに対処しましょう。
便秘は食事や生活のリズム、生活習慣を見直すだけでも、かなり改善が期待できます。慢性化しないために、まずはできることから取り組んでみてください。
1.女性が気になる便秘になる5つの原因
主な原因は5つあります。
1.器質的原因
便の経路である大腸、肛門のいずれかに、何らかの物理的な障害がある場合です。まず、先天的に腸管に障害がある、巨大結腸症や結腸過長症などが考えられます。生まれつきであることから、便秘は遺伝すると思われがちでしょう。しかし、実際のところそれはありません。また、後天的な原因としては、大腸や直腸に腫瘍や大きなポリープがあると便が通過しにくくなります。
2.身体的原因
女性は男性に比べて腹筋が弱く、そのため便を送り出す力も弱くなっています。こうした背景から、便意があってもスッキリと押し出せません。また、骨盤が広く腸が骨盤内に落ち込みやすいため、便が大腸内に長く留まってしまいます。
3.ダイエット
食事制限による無理なダイエットを行うと、食事量が減ることで水分や食物繊維が減り、便が硬くなって出にくくなります。
4.女性ホルモン
月経の前や妊娠した際に多く分泌される女性ホルモンのひとつに、「黄体ホルモン」があります。これが、体に水分や塩分を溜めこむように指令を出しているのです。そのため、本来は便を軟らかくするための水分を腸壁が吸収してしまい、便が硬くなってしまいます。
また、「黄体ホルモン」は腸の動きを悪くする作用もあるため、うまく便を排出できなくなることも少なくありません。
5.精神的
女性の中には、人前でトイレに行くことを恥ずかしいと思う人が少なくありません。そのため、外出先ではつい便意をがまんしてしまう傾向が強いようです。出したいときに出せないことでタイミングを逃してしまう。これを繰り返すと、直腸の排便反射が弱まり、やがて便意を感じにくくなってしまうのです。
2.腸内環境改善など5つの便秘解消法
便秘解消法を5つ挙げておきましょう。普段の生活を見直すことで、便秘が解消されることもあります。
1.食物繊維が豊富な食事を心がける
2.規則正しい生活で自律神経を整え、ストレスを溜めこまない
3.食事を決まった時間に1日3回しっかりとる
4.乳酸菌が多いヨーグルトや発酵食品を積極的にとり、腸内環境を整える(腸内デトックス)
5.便意をがまんせず、決まった時間に排便する習慣をつける
3.排便と便秘の仕組み
そもそもの排便の仕組みを解説します。人が口から摂取した食べ物は、胃や腸で消化され、どろどろとした液状になって大腸に送られます。そこで水分が吸収されて固形になることを「便塊化(べんかいか)」と呼び、肛門から便となって排出されるのです。
腸の働きは自律神経に支配され、胃に食べ物が入ってくると、ぜん動運動の命令が送られます。さらに便が直腸にくると、便意が大脳に伝えられるのです。しかし、何らかの理由で自律神経からの指令が滞ると、腸のぜん動運動がうまく行われなくなってしまいます。すると便が排出されず、溜まったままになるのです。これが、排便と便秘の仕組みです。
4.まとめ
仕組みと原因を知り、便秘の改善方法を試してみてください。これらを参考に、まずは日々の生活から見直してみてはいかがでしょうか。
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内科医・公衆衛生医師
成田亜希子(なりた あきこ)先生2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。二児の母でもある。
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