温かい湯船に浸かっても翌日にはまたデスクワークで肩が凝って、疲れた表情で帰ってくる夫。
そんな肩こりに悩む家族や恋人、あなたの大切な人をマッサージで癒してあげませんか?
本稿では、肩こりに効く肩甲骨はがしのマッサージを2種類ご紹介します。マッサージする際のポイントや、肩甲骨はがしについての予備知識もお教えしますので、ぜひ参考にしてください。
1.家族や恋人にやってあげたい!肩こりに効く肩甲骨はがしマッサージ2選
肩甲骨はがしといえばセルフストレッチですよね。でもマッサージで肩甲骨の癒着をはがす方法もあります。
自分以外の誰かの肩こりを楽にしてあげたい、そんなときにおすすめの肩甲骨はがしマッサージを2つ紹介します。
1-1.整体院でよく見かける!ベーシックな肩甲骨はがしマッサージ
1つ目に紹介するのは、実際に整体院などで提供されている、定番の肩甲骨はがしのやり方です。
手順が少なく簡単なので、マッサージ初心者の入門編におすすめです。
【手順】 ①うつ伏せになってもらい体勢を整える(右肩から始める場合) ※右肩から始める場合の、マッサージされる側の体勢を記載しています。左肩に移るときは逆の体勢に変えましょう。 ベッドなどにうつ伏せに寝転がってもらい、顔は左向きにする。右足は真下にまっすぐ伸ばし、左足は外側に向かって「く」の字に膝を曲げる。 左手は肘を曲げて顔の近くなど楽な場所に置き、右手は指先が腰あたりになるよう軽く肘を曲げた状態で手のひらを上にして伸ばす。 ※右手をこのように置くことで右の肩甲骨が少し浮いた状態になります。
②右肩の肩甲骨はがし(合計20~30秒) 相手の右側に移動する。 両手で熊手をつくり、右肩の肩甲骨の内側に親指以外の4本指を当てる。三角形になっている肩甲骨の端を指で捉えたら、内側下部から外側上部に向かって手前にグーッと引っ張る。 ※右手で右肩を上から掴んで固定し、左手だけでグーッと引っ張る方法でもOK。 ※女性など力の弱い方なら、両手で肩甲骨を捉えたまま体重を掛けて手前に引っ張ると楽にできます。
③左肩の肩甲骨はがし(合計20~30秒) ①、②を逆向きにしておこないます。
【ポイント】 ・もし余裕のある場合は、肩甲骨下部と脇の間もマッサージするとより筋肉がほぐれます。親指を下から入れ、肩甲骨はがしと逆向きにグーッと力を入れて離す、を20秒程度繰り返します。 |
1-2.手間をかけて緩める!応用編の肩甲骨はがしマッサージ
2つ目に紹介するのが、少し手間の掛かる肩甲骨はがしです。
肩甲骨が浮きやすくなるよう丁寧に事前準備をしてから、応用編の肩甲骨はがしをおこないます。1-1.のマッサージよりも手順が複雑ですが、肩甲骨の下に指を入れやすくなるので、肩甲骨が動かないほどガチガチに肩が凝っている場合にはこちらがおすすめです。
片側で約90秒を目安とし、肩甲骨や周辺の筋肉が緩んだかどうか確認しながら、時間を調整してください。
【手順】 ①右向きで寝転がってもらい、体勢を整える(左肩から始める場合) ※左肩から始める場合の、マッサージされる側の体勢を記載しています。右肩に移るときは逆の体勢に変えましょう。 右肩を下、左肩を上にし、右向きで寝てもらう。このとき右肩の位置はあまり前に出さず、体の真下で体重が乗っかる位置にする。右肩の位置を整えたら、次に左肩の位置を調整する。胸側(前)に出ないよう、背中に向かって左肩をグッと後ろに引いておく。
②鎖骨下のマッサージ 両手の指の腹を使い、鎖骨の下にある鎖骨下筋(さこつかきん)や、肩の前にある小胸筋(しょうきょうきん)を、円を描くようにしてクルクルとほぐしていく。
③脇に指を入れて肩甲骨を斜め上に押し上げる 左手で相手の左腕を持ち上げたら、右手で脇の下(後ろ側)を掴むようにして、親指を肩甲骨に沿って当てる。右手で脇の下の前鋸筋(ぜんきょきん)を捉えたまま、相手の左腕を下ろす。 次に相手の左肘を軽く後ろに引き、左手の親指を脇の下(前側)に当てる。両手の親指を使い、左右両側から脇をグーッと斜め上、外側に持ち上げる。このとき右の手のひらを脇にピッタリと押し当てるようにして、肋骨から肩甲骨をはがすイメージで、両手の親指を支点にしながら肩甲骨を持ち上げる。 これを、肩の位置を変えながら上・中・下と3段階に分けて数回繰り返す。
④肩甲骨まわし ③から右手の親指の位置は変えず、脇の下(後ろ側)から肩甲骨に沿って当てたままにしておく。 今度は左手の手のひら全体で左肩をやさしく包み、両手で左肩を固定して大きく円を描きながら時計周りに5回ほどまわす。 ※肩甲骨全体を動かすため、大きく円を描いてまわしましょう。
⑤肩甲骨はがし 相手の左腕を後ろに引く。左手は④のように左肩をやさしく掴む。右手は手のひらを上に向け、人差し指から薬指までの4本を使って、肩甲骨の一番端に下からグッと入れ込む。そのまま左手で押し込むようにして左肩を斜め下に動かし、より右手の4本指が肩甲骨の下に深く入るよう調整する。 その状態のまま円を描くようにして、肩を回しながら肩甲骨の下をグリグリとほぐす。
⑥右肩の肩甲骨はがし ①~⑤を逆向きにしておこないます。 |
2.肩甲骨はがしマッサージのポイント
肩甲骨はがしマッサージには、注意すべきポイントが2つあります。
2-1. 相手が痛みを感じるまで強く刺激しない
相手が痛がるような、強い刺激を与えるのは絶対に避けましょう。肩甲骨周辺を力任せに押しても、筋肉や神経が傷ついてしまうだけです。
肩が凝っているのは、肩甲骨まわりの筋肉が強張っているサインです。その上から無理やりにグイグイと刺激しても逆に筋肉が「もう押さないで!」と抵抗し、結果的に筋肉や神経が炎症を起こしてしまう可能性があります。
肩甲骨はがしをおこなうときは、痛みを感じていないか相手の反応を見ながら力加減を調節してください。「痛くない?」とコミュニケーションを取りながらマッサージを進めていきましょう。
2-2.できるだけ脱力してもらう
できるだけ、相手の全身の力を抜いてもらったうえで肩甲骨はがしをしましょう。体に力が入って筋肉が緊張している状態だと、指で押したときに筋肉が防御反応を起こして力んでしまい、痛みを感じやすくなったり、揉み返しが起こりやすくなったりします。
脱力しリラックスした状態でマッサージをするのが、痛みや揉み返しのリスクを抑えるコツです。普段からマッサージされることに慣れていないと、グイグイ押されて痛くならないか不安に感じる方もいます。
相手を安心させるためにも、マッサージをする側は最初はやや弱めの力で始め、慣れてきたら様子を見ながら徐々に力を強めていきましょう。
3.そもそも肩甲骨はがしとは?
「肩こりに良いとは聞くけど、肩甲骨はがしが何なのかイマイチ分かっていない」なんて方も多いのではないでしょうか。
そこで本章では、改めて肩甲骨はがしとは何なのか、普通のマッサージとどう違うのか、具体的にどんな効果が期待できるのか説明していきます。
3-1.肩甲骨はがしはストレッチとマッサージの2種類
肩甲骨はがしとは、周辺の筋肉をほぐして肩甲骨の動きを良くするストレッチやマッサージのこと。
名前から「肩甲骨をバリバリと剥がすの?痛いの?」と不安な連想をしがちですが、肩甲骨をまわりの骨や筋肉から剥がすわけではありません。肩甲骨を剥がすというのは身体構造上不可能なので、実際は「肩甲骨周辺の筋肉をほぐすことで、固まって動かしにくくなった肩甲骨を浮かせて動きを軽やかにするケア」が肩甲骨はがしの正しい説明となります。
肩甲骨まわりには17もの筋肉がありますが、肩甲骨はがしはその中でも肩甲骨の動作に関わる「僧帽筋(そうぼうきん)」や「肩甲挙筋(けんこうきょきん)」、「菱形筋(りょうけいきん)」に働きかけます。
また、肩甲骨はがしには、ストレッチとマッサージの2つの手段があります。
セルフケアにおすすめなのがストレッチで、1人でできる、不調が気になるときサクッとできるといったメリットがあります。しかし中には「スッキリしない」などと、あまりにも肩甲骨周辺の筋肉が硬く、効果を実感しにくいケースもあります。
一方でマッサージに関しては指が上手く届かないのでセルフケアは難しく、必然的に自分以外へのケアとなります。
しかしメリットとして、自分で動かせないほど肩甲骨周辺がガチガチに固まっている方には適しています。指圧により、間接的に肩甲骨の動かし方を体験できるからです。手で触れることで、ストレッチにはない癒し効果も期待できます。
3-2.肩甲骨はがしと普通のマッサージの違い
肩甲骨はがしは一般的なマッサージを局所的にし、やや特殊な手法を用いたものです。
よくある通常のマッサージは「もみほぐし」とも呼ばれ、頭から足先を対象範囲として、手を使って筋肉のこりをほぐすボディケアを指します。基本的には指の腹を使って押したり揉んだりを繰り返し、広い面などでは手のひら全体を用いてさすることもあります。
また、仮に肩甲骨周辺を触るとしても、肩甲骨の下に指を入れて念入りにほぐすことはありません。
かたや肩甲骨はがしでは肩甲骨の下に指を入れ、ひたすら肩甲骨周辺をほぐします。指や手のひら全体の力で押したりさすったりしますが、指で揉む作業はほぼありません。
押したりさすったりして固まった肩甲骨をグーッと浮かせ、動きを良くすることを目的としているからです。
このように肩甲骨はがしのマッサージは、「肩甲骨の動きを良くする」という目的で、普通のマッサージよりも局所的で少し特殊な手法を用いています。
3-3.肩甲骨はがしの効果
肩甲骨はがしには、以下のような効果が期待できます。
・肩こりの緩和
肩こりは、肩甲骨やその周囲の筋肉がこわばり、血行不良になることが原因です。
つまり肩甲骨はがしによって肩甲骨をはじめ、僧帽筋や肩甲挙筋、菱形筋などがほぐれて動きが良くなり、血流が改善されることで肩こりが楽になります。
・疲労の緩和
肩甲骨周辺の筋肉のこりがほぐれ、血流が良くなることで筋肉に溜まった疲労物質が流れやすくなり、疲労が緩和されます。
・猫背改善
肩甲骨が左右に広がったまま固まり、動きが制限されてしまうことで猫背が癖付いてしまいます。
そこで必要なのが肩甲骨はがしにより、肩甲骨の動作に関わる僧帽筋や肩甲挙筋、菱形筋のこわばりをほぐすこと。
特に菱形筋が正常に動くようになれば、肩甲骨をうまく背面中央に寄せられるようになり、猫背が改善されます。
4.まとめ
家族や恋人にやってあげたい肩甲骨ほぐしのマッサージを2種類紹介しました。
1-1.整体院でよく見かける!ベーシックな肩甲骨はがしマッサージ
痛みや揉み返しが出ないよう、マッサージをする際はできるだけ脱力してもらい力加減をうまく調整するのがポイント。肩甲骨や肩甲骨周囲の筋肉をほぐして動きを良くすることで、肩こりや疲労の軽減、さらには猫背の改善が見込めます。
手で触れることによる癒し効果も期待できるので、ぜひマッサージによる肩甲骨はがしで大切な人を癒してあげてくださいね。
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