「整体」と聞いたとき、「どんな施術が整体の範囲?」と思いませんか?
いくつかの国語辞典の内容をまとめると、整体は「薬を使用せず、主に手技で骨格のゆがみを矯正し、筋肉や内臓のバランスを整え、健康増進・体質改善をはかる民間療法」と説明されています。
一言で「整体」といっても、街中には「整体院」「カイロプラクティック院」「整骨院」「接骨院」「鍼灸院」など、さまざまな施設があります。
どこで何をしてもらえるのかよく分からないですよね。
この記事では、
・整体の概要
・健康保険は使えるのか
・治療院の選び方
などを分かりやすくまとめました。
ぜひあなたに合う整体院を見つけて、日頃の悩みを解消するのに役立てていただければと思います。
1.「整体」は色々な施術を含んでいる
整体 | |
民間療法(代替医療) | 要国家資格の施術 |
・カイロプラクティック ・マッサージ療法 (スポーツマッサージ、タイ古式マッサージ etc) | ・鍼灸(しんきゅう) ・接骨/整骨(柔道整復術) ・あん摩マッサージ指圧 |
「整体」という言葉は、戦後に野口晴哉氏がまとめた「整体操法(野口整体)」が広まったことで世に知られるようになりました。
整体には、はっきりとした定義がありません。
整体と呼ばれるものは、さまざまな施術を含んでいますが、一般的には民間療法を指すことが多いです。
整体の資格について
「整体師」は民間資格のひとつです。「整体師」の民間資格は、通信教育を経て数万円の費用で取得できるものから、専門的な技術をじっくりと学び数百万円の費用がかかるものまで、多岐に及んでいます。
なお「あん摩マッサージ指圧師」「はり・きゅう師」「柔道整復師」などの国家資格所有者が整体院を開業しているケースもあります。詳しくは『3.要国家資格の施術について』で解説します。
整体に係わる認定師(国家資格)
名称 | 概要 | メリットなど |
あん摩マッサージ指圧師 | 厚生労働省が実施する試験に合格すれば得られる国家資格。文部科学省・厚生労働省管轄の学校で3年以上、知識・技術を習得する必要もある。 | 有資格者は、整体師としても信頼を得やすい。 また、健康保険適法のマッサージ療法が行える。 |
はり師・きゅう師 | 文部科学省・厚生労働省管轄の学校で3年以上勉強し、はり師・きゅう師それぞれの国家試験に合格すれば、認定師となれる。 | 「あん摩マッサージ指圧師」と合わせて3つの資格を持つ人は「三療師」「あはき師」と呼ばれることもあり、専門知識があるとみなされる。 |
柔道整復師 | 文部科学省・厚生労働省管轄の学校で3年以上勉強し、国家試験に合格すれば、認定師となれる。 | 解剖学・生理学・運動学などの基礎科目、柔道整復実技などの専門科目を学んでいるので、信頼を得やすい。 |
2.民間療法について
民間療法は「代替医療」とも呼ばれ、通常の医学校では講義されていない医学分野で、通常の病院では実践していない医療です。
そのなかで整体は、さまざまな流派や施術法があり、定義するのが難しいと言われています。
整体のタイプを、大きく分類すると以下のようになります。
● 腰痛や肩こりなどの痛みを根本から治療することを目的とした整体
● リラクゼーションを目的とした整体
それでは、整体に関わりのありそうな療法を見ていきましょう。
2-1.カイロプラクティック
カイロプラクティックは、身体の構造(特に脊椎)と機能に注目した専門医療で、米国では補完療法とみなされています。
施術法は施術者によって異なりますが、脊椎などのゆがみの矯正、痛みの軽減、機能改善、身体の自然治癒力を高めることを目的としていて、「整体」の目指すところと似ています。
一般的なカイロプラクティックは、腰痛・頭痛・頚部痛・四肢関節の症状、むち打ちによる障害がある人に有効とされています。
2-2.マッサージ
マッサージについては以下のように説明されています。
古代中国、日本、インド、エジプトにマッサージを記した文献が残されており、長い歴史を持つマッサージ療法。一般的には、筋肉や軟組織に働きかけて、気分を良くしてくれる治療法です。ほとんどの整体で、マッサージが取り入れられていると言えるでしょう。
一例として、「スポーツマッサージ」は「スウェーデン式マッサージ」と「深部組織マッサージ」の技術を組み合わせて、慢性的な筋肉の緊張をほぐします。
「タイ式マッサージ」もポピュラーであり、エステでもマッサージ療を取り入れています。
3.要国家資格の施術について
国家資格を有する認定師が行う鍼灸(しんきゅう)や接骨・整骨(いわゆる「骨つぎ」)は、医療技術のひとつです。
整体サロンの中には、はり師・きゅう師や柔道整復師がいる場合もあります。
整体と直結するものではないのですが、その治療方法を簡単にまとめてみました。
3-1.鍼灸(しんきゅう)
鍼(はり)治療は、細いステンレス製の針を経穴(つぼ)に刺入することにより、患部を刺激して、痛みや筋肉のこりを軽減したり、血液循環を促したりします。
灸(きゅう)は、艾(もぐさ)を用いて経穴に熱刺激を加える治療で、「やいと」とも呼ばれます。
鍼も灸も、中国の伝統医療など東洋医学の治療法のひとつで、腰痛・肩こり・神経痛・関節炎に効能があるほか、現在ではもっと多様な疾患への効果が報告されていて、実証が進んでいます。
3-2.接骨・整骨
「骨つぎ」とも呼ばれるもので、これは整体と区別されています。
骨・関節・筋・腱・靭帯などが原因で発生する骨折・脱臼・捻挫・挫傷・打撲などの損傷を、「非観血的療法」という独特の手技によって整復・固定し、人間の持つ自然治癒能力を最大限に発揮させる治療術。
「柔道整復師」という国家資格を持つ施術師が、「接骨院」や「整骨院」で行うのが一般的です。
3-3.あん摩マッサージ指圧
あん摩・マッサージは、さする・押す・揉む・たたく・震わす・引っぱるなどの手技による生体反応からの治療効果を期待し、健康を増進させる手技療法です。本来「マッサージ」とは、あん摩マッサージ指圧師の施術を指します。
あん摩
あん摩(按摩)の按は「おさえる」、摩は「なでる」を意味しています。
もともと中国で「推拿(すいな)」と言っていたものが起源で、奈良時代に日本へ伝わったとされています。
東洋医学の気血や経絡の変調を調整する手技療法で、衣服の上から体の中心から末端へかけて揉む・叩くことを中心とした施術するのが特徴です。
指圧
指圧は、大正時代にアメリカの整体療術の理論を取り入れて体系化されたといわれています。
衣服の上から指や手のひらを使って一点圧を主体とした施術方法で、生体の変調を矯正し、健康維持と増進をはかります。
「あん摩マッサージ指圧師」としてひとつの国家資格になっており、資格所有者が在籍しているかどうかは、治療院の看板や院内の掲示、施術者のネームプレートなどで判断できます。
詳しく知りたい方は、以下の記事でご確認ください。
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4.「整体」には健康保険が使えません
整体を含む民間療法では、健康保険は使用できないと考えてください。
骨折や脱臼、捻挫、打撲、挫傷の治療を接骨院や整骨院で受ける場合は健康保険が適用されます。
また、医師の同意があり柔道整復術やマッサージなどの治療を受ける場合は、健康保険が適用されるケースもあります。
詳しく知りたい方は、以下のページで確認してみましょう。
整体で保険が適用される場合については以下の記事でご確認ください。
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整体で医療控除を受けられる場合については以下の記事でご確認ください。
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5.安心な整体サロンの選び方
「整体」に興味があるということは、「腰痛がひどい」「冷え性で悩んでいる」「体質を改善したい」など、人それぞれの理由があるはずです。
すべての人におすすめできるサロンはないので、自分の症状に合ったサロンを探すことが重要になります。
安心できるサロンなのかを確認するとき、チラシやパンフレット、公式HPや比較サイトなどインターネット上の情報を利用することが多いと思います。
その際は、情報をうのみにしないように注意しましょう。また、下記のポイントもチェックしてみてください。
●カウンセリングや治療の説明をきちんとしてくれるか?
自分の症状を理解して、それに対する施術の内容を説明してくれる治療院がおすすめです。
● いつも同じ施術者が担当してくれるか?
スタッフが多い治療院・整体院では、常に違う施術者が担当することもありえます。それが良くないと一概には言えませんが、特に何度か施術を受ける場合は、同じ担当者であった方が施術の効果を見極めてもらえるでしょう。
● 患者の紹介率が高いかどうか?
施術者とは相性があるとはいえ、やはり口コミで患者さんが多い(人気のある)サロンは安心です。直接知っている人が行っているサロンを紹介してもらうのもおすすめです。
以下の記事もおすすめです。興味があればぜひ読んでみてください。
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6.まとめ
繰り返しになりますが、整体は民間療法です。
米国では補完療法とみなされている「カイロプラクティック」を取り入れたサロン。
「マッサージ」「鍼灸」「接骨・整骨」などの国家資格を持つ認定師がいる治療院。
整体師の民間資格を有する人が開業している整体サロンなどが存在します。
基本的に整体には健康保険が使えませんが、医師が認めた治療を行う認定師の施術に対しては、保険適用になる場合があります。
安心できる治療院を見つけて、つらい症状を改善してみませんか?
以下の記事もおすすめです。興味があればぜひ読んでみてください。
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