私も今日からお灸女子!
ドラッグストアでセルフ灸を買い、準備万端。
いざ肩こり解消へと思ったが、付属のツボマップを見てもどこにお灸をすえればよいかがわからなーい。
説明書に書いてあるツボで本当に効果が得られるのかどうか?
もしかしたら肩こりの時にお灸を据える場所は他にもあるんじゃないかと・・・(汗)
それもそのはずです。
近年でようやくWHO(世界保健機構)によって361種類(670ヶ所)のツボが認められ整理されました。
しかし整理されているとはいえ、肩こりに効くツボは「肩の肩井」を初めとし、「後頭部の天柱」や「首の後ろの大椎」「手のひらの後谿」とまだまだ数十種類にも及び枚挙に暇がありません。
本記事ではその中から、セルフ灸をする際に最適なツボを紹介します。
1.肩こりでお灸をすえるべき3つのツボと探し方
ここで紹介するツボは、おうち灸の主流である台座灸を想定したお1人でもすえられることに特化している肩こりに効くツボなります。
本来、指圧用にツボを紹介するのであれば、「主要ツボ」と呼ばれる肩こりなら肩にあるツボ、便秘や下痢ならおなかにあるツボというように患部を直接刺激できるような即効性のあるツボを紹介するのですが、セルフ灸用のツボは「リモコンツボ」と呼ばれる患部から離れた場所にあるため手が届きやすく、目で確認できる手足にあるツボになります。
1-1. 西洋医学的な効果が認められた 手の合谷
<場所>親指と人差し指の骨のつけ根の間で、少し人差し指側にあります。
1-3で紹介する曲池と同じく、14経路のうち手陽明大腸形経のツボになります。
<由来>親指と人差し指の付け根にあるくぼみが谷のように見えることから合谷といいます。
この谷から体の中を巡るエネルギーが湧き出ると言われています。
<効果>肩こりからくる痛みを和らげます。
ちなみに合谷は痛みに万能なツボと言われています。
実はこの合谷、東洋の神秘が科学的に証明された一例になります。
最新の研究で合谷を刺激すると脳からエンドルフィンという鎮痛効果のある物質が分泌されることが判明しました。
このエンドルフィンが良く知られるところではランナーズハイの時に脳から出る物質で、医療用の鎮痛薬であるモルヒネの6.5倍もの鎮痛効果があるのです。
1-2.頭痛を伴う場合に一石二鳥な足の足臨泣
<場所>足の甲にあり、薬指と小指の骨の付け根の間にあります。
肩こりの最も代表的なツボである「肩井(けんせい)」と同じ足小陽胆経(全14ある経路の1つ)に属します。
<由来>涙の出る場所、つまり目を臨む場所にあるツボという意味で「足臨泣」と名づけられました。
足臨泣の属する足小陽胆経は目尻から始まっており、足臨泣とは足の中で目にあたるツボという意味になります。
<効果>首の横から肩にかけての凝り感に効果的なツボです。
また、頭痛解消のツボでもあるので、肩こりと伴に、頭痛の症状が出始めている方には一石二鳥のおすすめなツボです。
なお、頭痛を伴う肩こりについて悩まされている方は、こちらの記事にて解消法や原因を解説をしておりますので、「敵を知る」という意味で、まずは参考頂けると幸いです。
関連記事1-3.見つけやすいことで知られる 肘の曲池
<場所> 腕の外側で、ひじを曲げた時にできるしわの端のくぼみ
14経路のうち手陽明大腸形経のツボになります。
実際は腕になりますが、広義の意味で手とさせて下さい。
この曲池は肩こりに効果があるといわれていることはもちろん、お灸をすえやすいヶ所にあるためです。
<由来>ひじを曲げたところに浅いくぼみ(池)があることから曲池といいます。
池というのは現代のパワースポットでも同じように、東洋医学の概念でいってもエネルギーや邪気が溜まる場所と考えられています。
<効果>腕まわりの筋肉の代謝を良くし、腕や肩のだるさを解消します。
1-1.手の合谷と同じく万能ツボとして紹介されることの多いツボです。
大腸を通る大腸形経にあることから肩こりだけでなく、便秘や下痢といったお腹の不調にも効果があるとされています。
押すのと温めるのではツボの探し方が異なる
ツボは本来、体の表面にはなく奥にありますが、お灸の場合は大きく箇所をはずさなければ大丈夫です。
次章で後述していますが、ツボは刺激することで神経に働きかけるポイントなので、多くの場合は骨や肉に守られるように骨の裏側やキワにあります。
そのため指圧であればきちんと探し当てて、ピンポイントで押さなければ効果が半減します。
しかし、お灸の場合はじんわりと深部だけでなく周辺にまで温熱によってツボを刺激するため、厳密にツボの位置を見つけ出す必要はなく、「ここら辺かな?」という感覚で体の表面上に置いて良いのです。
またツボのある場所は肩こりに呼応して血行不良になっていることが多いので、指の滑り方が違ったり、少しへこんでいたり、色がくすんでいたりと、押すと気持ちが良いなどの他の場所とは異なる感覚がありますのでぜひ参考にしてみてください。
2.お灸は肩こり改善に効果的
2-1.よもぎの薬効成分と、お灸の温熱刺激でダブルの効き目
よもぎの自体の薬用効果とお灸の温熱効果の両方で肩こりに効き目があります。
お灸に使われるもぐさはよもぎの葉を乾燥させ臼でひき、綿状の塊にしたものです。
そのもぐさの元であるよもぎはそもそも薬効成分が豊富で、東洋では古くから下痢止めや止血などの代わりに使われており、また西洋(ヨーロッパ)でもハーブの女王と呼ばれてきました。
もぐさを温めることにより、よもぎの精油成分である「チオネール」が皮膚下に浸透し、血液中の白血球が増え、体の抵抗力が高まることから鎮痛作用、鎮静作用が効いてきます。
さらにお灸で体の一部を温めることのよりじわじわ体全体にも熱が広がっていくことになります。
そのため、体全体の血行が促進され、体内循環が良くなるのです。
肩こりというのは肩周辺の筋肉が緊張して血行が悪くなり、疲労物質の乳酸が溜まることによっておきますので、
よもぎの効果で痛みを無くし、熱によって血行を良くして疲労物質を流すという働きをもつお灸は理にかなった肩こりの改善法なのです。
2-2.ツボを刺激すると関連部位に影響を与える
東洋の神秘と思われてきたツボですが、ツボは神経が集中している場所だということが科学的にようやくわかってきました。
全身に張り巡らされている神経は最終的には中枢神経を通って脳に集まるのですが、ツボがある箇所はなんとこの神経が滞りやすい場所なのです。
滞ってしまうことで「食べたものを消化する」「熱くなると汗を出して体温を調整する」といった普段意識していなくても勝手に作用してくれている自律神経の働きがうまく体に伝わらず、不調となって体に現れるのです。
この神経の線を東洋では気というエネルギーラインのようなもので考えており、経絡といいます。
この体内に巡る経絡は全部で14通りあり、その経絡上に要所要所に点在しているのがツボで、とあるツボを刺激することはその経絡を通って関連部位にエネルギーを送ると信じられてきたのです。
ちなみに上記で挙げた曲池や合谷のツボがある経路は肩を通る14経路の中の1つ手陽明大腸形経になります。
曲池や合谷をお灸のジワッ~っとした温熱によってツボを刺激すると、
手陽明大腸形経(経路)を伝って肩こりを回復させるといった風に古代中国人は考え、その考えが今に至るのです。
3.お灸の効果をより効果的にするコツ
お灸の効果を高める方法があるので紹介します。
その中で肩こりに対して直接影響するポイントがあれば文中で紹介しています。
3-1.スマホを見ない
お灸の効果を高めるにはリラックスできる環境が最適です。
人間の自律神経には交感神経と副交感神経の2種類がありますが、このうち交感神経は脳や体を動かしやすくするため、興奮状態にさせる役割を担っています。
一方で、リラックス時には副交感神経が優位になることで、筋肉を緩め、血液循環を良くする働きを持っています。
しかし、スマホを見ると交感神経が刺激されて優位になり、興奮することからお灸の効果が落ちてしまいます。
網膜が強いブルーライトの刺激を受けると脳は「朝だ」と判断し、交感神経が優位に働き興奮してしまうためお灸の効果が半減されてしまうのです。
3-2.カフェインを摂取しない
スマホの画面を覗くのと同様に交感神経が刺激されお灸の効果が弱まります。
目覚めにコーヒーを飲むとシャキッとするように、また眠気覚ましにカフェイン入りのドリンク剤を飲むようにカフェインを取ることでも交感神経を活性化させてしまいます。
例えば、コーヒーを飲まなければ落ち着かないといったような人はカフェインゼロのコーヒーを飲むなどカフェインを摂取しないよう工夫してみて下さい。
3-3.少し明かりを落とす
お灸の効果を高めるには部屋の照明をなるべく暗くして下さい。
ほとんどの生物は日が昇ると目覚め、日が落ちると眠りにつくというサイクルで生活しています。
そのため、光によって暗いほどゆったりと暖か、明るいほど元気になるという光の働きを受けます。
お灸をする際には、明るい照明よりも暗い照明のほうがリラックス効果が高まり、同時にお灸運も効果も高まるのです。
3-4.アロマを焚いて相乗効果を狙う
ツボと同様に自律神経にアプローチできる方法が「アロマ」になります。
嗅覚は五感の中で自律神経に働きかける唯一の器官なのです。
さらに医学・薬学的に副作用の心配がないためおすすめです。
ただし、お灸は煙が出るのでドアないし窓を少し開けて、換気には気をつけて下さい。
特に「レモン」「ラベンダー」「ローズマリー」などは手に入りやすい代表的なアロマは肩こりに対する薬草効果があるのでおすすめです。
また以下のようなアロマとセットになっている台座灸もあるので、今ある台座灸が無くなったらコチラのタイプもおすすめです。
出典:せんねん灸
4.おうち灸の注意事項
肩こりだからという注意事項は特にありませんので、お灸全般の注意事項になります。
1章で紹介したツボを試す際には以下の注意事項を守るようお願いします。
4-1.熱いのを我慢するお灸はNG
長いことやらないと効かないわけではなく、継続的にやることの方が大事です。
確かにお灸は即効的効果も期待できるのですが、それはむしろ西洋医学の考え方です。
お灸の本質は継続的にやることによる「体質改善」と「予防」という予防医学なのです。
市販のお灸はやけどの心配をせずに心地良い熱さで楽しめる作りにはなっていますが、その日の天候や体調などで「ピリピリ」したり「アチチ」となることがあります。
そうなったら無理をせずにすぐに外しましょう。
お灸は気持ちよいと感じる熱さが最適なのです。
また、複数回に分けて1日に何回もやるのも低音やけどの元となるためNGです。
1日の限度回数は3回を目安に。それも全く同じ場所ではなく少しずつ場所を変えながらすえましょう。
4-2.顔にすえるお灸はNG
顔にも確かに肩こりに効くツボはありますが、顔にやるのはNGです。
セルフ灸の基本は火を扱うため、直接目で確認できる手足上にやるのが基本です。
ツボは経路というエネルギーラインによって結ばれているため、わざわざ手足を避けて顔にやることにメリットはありません。
プロの鍼灸師のお灸を受ける際は例外となりますので、ご注意ください。
4-3.妊娠中のお灸はNG
ツボの中には妊娠中はどうしても避けたいものがあります。
ちなみに今回紹介した合谷はそれにあたります。
妊婦さんのマッサージをお断りしているお店が多い理由もこれなんです。
ツボは経路で意外な箇所と繋がっていることも少なくはないため、妊娠中は避けるようお願いします。
4-4.入浴前後、食事直後、飲酒後、発熱時のお灸はNG
入浴前後・飲酒後・発熱時は全身の血行が良くなりすぎて体がだるくなったり、気分が悪くなったりするため避けてください。
食事後については消化不良が起きるためです。
本来、消化にのために胃に集中させたい血が、全身に散らばる結果になってしまいます。
入浴前後と食事直後は最低で60分は時間を空け、飲酒後や発熱時は終日控えるようにしましょう。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
・肩こりの時にお灸をすえる場所は手足の3箇所
・お灸で肩こりを改善することは効率が良い
・4つのお灸の効果を高めるコツと注意事項がある
また、毎日続けられる提案として、お灸のようにじんわりと温めるられるカイロを使用する方法があります。
カイロであれば、”ながら”で肩こりを改善できますので、忙しくなりお灸をする時間が割けなくなってしまったいう方にはこのような方法もありますので、頭の片隅に入れて頂ければ幸いです。
関連記事さらにもし本記事を見て、プロの鍼灸師のお灸にも興味を感じたのでしたら、お近くの鍼灸サロンが検索可能なページを貼り付けておきますので、ぜひ検索してみて下さい。
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